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2024.4.15 続・そばの香りを考える。 〜2つの香り〜

4月15日(月)
今日は先週の金曜日にお話しした「そばの香り」についての続きです。
今回は私の仮説も入れながら話してみます。


金曜日の話をまとめると…

・そばの香りは微妙で測定困難
・香りと味の区別がつきにくい(クロスモーダル)
・言語化すらできていない
・脂質に香り成分が多いらしい
・その脂質は甘皮、胚芽に多い
・未熟粒は脂質が多い
・タンパク質は脂質と同じ場所に多いので、香りの簡易指標になりうる

そばの香りについては、評価方法が体系化されていないという話でした。


それだけ難解な「そばの香り」ですが、そばを食べたときの会話を聞いていると、
「この蕎麦は香りがいい」
「あまり香りがしない」
とか言う人があまりに多いと感じています。

こう言う会話をする方々にもっと詳しく聞こうと
「どんな香りか具体的に教えて」と頼むと、
「香りは香りだよ」って全く言語化できないですし、
「実はあんまり香りは得意じゃない」と逃げられることが多いんですね。

それでもこれだけそばを食べた時に「香りが・・・」っていう人が多いってことは、「香り」はそばの美味しさの最重要項目の一つではあることは間違いないと思います。

なので、今年は香りを深堀りしようと思って取り組んでいますし、お客様からも宿題として求められているんだと思います。


で、その手がかりになるのが、前回最後に話した「2つの香り」かもしれないと考えています。

少し説明すると、一般的に香りには2種類あります。
①「鼻先香」食べ物を口の中に入れる前に鼻で感じる香り
 (オルソネーザル・立ち香)
②「口中香」食べ物を口の中に入れた後に感じる香り
 
(レトロネーザル・戻り香)

多くの人たちは、香り成分が鼻先で感じる「鼻先香」だけを「香り」と言っています。そのため、口の中に食べ物を入れた後に感じる香り「口中香」を味と勘違いしているそうです。
実際には、食べ物を口に入れた後にも香りを感じていて、口の中に入った食べ物から出ている香り成分(戻り香)は、鼻腔へと送られて香りを感じています。これは「口中香」・・・つまり味でなくて香りなんですね。

ここが「香り」と「味」の区別が困難で、「クロスモーダル」といって、ごっちゃになる所以だと思います。
正直私も明確には味と香りを区別できていませんが、
美味しさを語るときの香りは、実は「口中香」がメインだということです。


この「2つの香り」の考え方は、以前香料会社さんと話していた時、ここをかなり意識してると感じました。また東京のとある有名なそば屋さんもこの「2つの香り」の話をされていました。

なのでここ最近は(昨日もそばを食べましたが)、この2つの香りの内「口中香」を意識してそばの香りを評価するようにしています。

仮説でもいいのでいろんな角度で考えて、「そばの香り」の正体をつかみ、評価基準(ものさし)として一番しっくりくるものを模索していきたいと思います。


鈴木製粉所の価値観にも掲げていますが・・・
「サイエンス」をベースに仮説検証

今週は大阪のそば屋さんと「香り」の食味評価をしてきます。
何か手がかりをつかめたらまた報告します。


それでは今週もよろしくお願いいたします。


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