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#教えて翔さん vol.2

前回に引き続き、#教えて翔さん をまとめていきたいと思います。
今回は僕のあるツイートから始まりました。

これ、MLB Japanのツイッターの動画を引用RTしたものなんですが、ベルトレイという名選手(こいつ呼ばわりしてますが)の好守備をまとめた動画になっています。
僕がツイートしているベアハンドというのはベアハンドキャッチという投げる側の手(グラブを使わずに)で直接捕球するプレイなのですが、動画では7分30秒あたりで登場します。それに関してまたこんな質問がきました。

ガムとかひまわりの種に関してはかなり適当に答えてますが、実際メジャーリーガーはベアハンドがやたらうまい。というか日本の選手はあまり素手で捕球しにいきません。
昨年残念ながら引退された松井稼頭央選手。個人的に大好きな選手で、今まで自分が生で見てきた日本のプロ野球のショートでは最高の選手だと思っている選手ですが、彼は類稀な身体能力の持ち主で、所謂5ツールプレイヤーでした。5ツールプレイヤーとは、①打率(ミート技術)②本塁打(パワー)③盗塁含めた走塁技術とスピード(走力)④守備技術⑤肩の良さ(④⑤合わせた守備力)という野球選手に必要な5つの能力(ツール)を高いレベルで併せ持った稀有な存在のことです。
ホームランバッターの印象が強いケン・グリフィーJr.やバリー・ボンズなどの選手も若かりし頃は非常に足が速く、守備力も高い選手だったため、5ツールプレイヤーと言える選手でした。
日本では先述の松井稼頭央選手を筆頭に、過去には秋山幸二や福留孝介(福留はまだ現役ですが5ツールだったのは昔の話)現在で言うと柳田悠岐選手なんかが当てはまるかと思います。もしかすると山田哲人選手もそうかもしれませんが、個人的には守備におけるダイナミックさや、肩に疑問符をつけたいところです。ですが3割30本30盗塁という、①〜③を兼ね備えていないとできない偉業を複数回達成している名選手であることは、紛れもない事実です。

話が劇的に逸れてしまったのですが、松井稼頭央選手も山田哲人選手や柳田悠岐選手同様3割30本30盗塁を記録したことのある選手で、彼が日本で活躍したのは90年代後半〜2000年代前半ですが、躍動感と強肩で魅せる華のある守備、60盗塁を記録したスピード、30本塁打を放つパワーと、素晴らしい選手でしたし、身体能力オバケが集まるプロ野球の世界で、頭ひとつ抜けた存在だったと思います。スイッチヒッター(両打ち)だったことも、かっこよかったところだなあ・・・などと、松井稼頭央選手大好きなので、話が逸れがちなのですが、そんな松井稼頭央選手も、「日本No.1内野手」としてメジャーに挑戦した選手でした。日本の内野手としては松井稼頭央選手が初めてのメジャーリーガーで、その後に続く井口選手や、岩村選手、中島選手、川崎選手らのパイオニアと言っていい存在です。(厳密にいえば中島選手はメジャーリーガーではないのですが。)
そんな松井稼頭央選手ですが、メジャー移籍後はなかなかの苦難をしいられました。先述のベアハンドキャッチの失敗からかは失念してしまいましたが、捕球の際に右手の指を痛めてしまったこともあったように記憶していますし、日本では別格の強肩でしたが、アメリカのショートとしては一般的と言う烙印を押されてしまい、また天然芝で守りづらいメジャー特有の環境もあり、エラーの数も多く、ショート松井稼頭央はメジャーリーグではほとんど活躍できませんでした。ですが、その後セカンドとして30盗塁も記録し、一定の活躍を見せたところはやはり松井稼頭央選手の凄いところであり、日本人内野手で過去MLBでレギュラーを獲得できたのは松井稼頭央選手、井口選手、岩村選手の3人だけですし、活躍した期間も7シーズンと非常に長かったことだけでも、彼が日本人内野手として今現在の選手と比べてもどれだけ優れていたかがわかると思います。

松井稼頭央論になってしまうので、このへんにしておきますが、めちゃくちゃ優れた内野手であった松井稼頭央がなぜメジャーでショートとして失格の烙印を押されてしまったのか。それがこの”ベアハンド”からも垣間見えると思っています。
日本の野球を経験した人であれば「ゴロは正面で捕球しろ」と習ったことがあると思います。正面で確実に捕球し、正確な送球でアウトをとる。それが「ミスを最小限に抑えようとする日本式野球」の際たる例ではないかと思います。あくまで私的な見解ですが。
でもアメリカ式ベースボールは少し違って見えます。よりエキサイティングなプレーをする。たとえ守備であってもアグレッシブな姿勢でプレイしている、と感じます。これはアメリカの国民性もあるかもしれませんが、アメリカ式ベースボールは点取りゲームです。ミスを最小限に抑えた極論1−0で勝つ野球を目指す日本式ではなく、10−9で勝つ野球を目指しているのだと思います。アメリカの4大スポーツ(アメフト、バスケ、アイスホッケー、野球)はどれも点がたくさん入るものです。点が入る瞬間に観客が歓声を上げる、この構図は日本もアメリカも差異はないと思いますが、アメリカはこのエキサイティングな瞬間がたくさんあることを好むのだと思います。
この辺りは国民性とも言えるし、エンターテイメントの国アメリカだからこそだと思うのです。
話がまたまた逸れましたが、結局日本式の捕球方法が染みついているとアメリカの内野手(特にショート)はなかなか務まらない、というのが僕の持論です。
なぜならアメリカの多くの球場が天然芝を採用しており、イレギュラーバウンドが多い点。さらに芝によって勢いを殺された打球も多いため、人工芝のように球足が速く、待って捕球してからスローイングしても間に合わないのです。だからこそ守備範囲にとんできた打球に対し、よりアグレッシブに(正面かどうか、グラブか素手かなど関係なく)捕球にいき、いち早くどんな体勢からもファーストまで強い球を送球する、ということが染みついているメジャーの選手と日本の選手には大きな差が存在しているような気がします。そもそもの身体能力とか、肩の良さとかもかなりの差があるとは思うのですが、野球を始めた少年時代、特に高校時代の意識の差が、最終的には大きく影響しているような気がするのです。

その点、松井稼頭央選手は特別な存在だったと思います。
彼は名門PL学園高校出身ですが、高校時代は投手として活躍しました。(高校時代はほとんど怪我でまともにプレイできなかったようですが。)プロ入りと同時に内野手に転向した彼は、良い意味で日本人内野手的なクセがついていなかったんだと思います。実際内野手に転向した最初は守備にかなり難がある選手だったようで、コーチと二人三脚で守備をイチから鍛えました。だからこそ彼の内野守備の土台はプロになってから築かれたものであり、それゆえのダイナミックさだったような気もします。そんな松井稼頭央選手ですらメジャーでショートを守ることができなかった、それは悲しい日本野球の現実です。今後日本人メジャーリーガーがショートでバリバリのレギュラーをはれる時代はくるのだろうか?かなり難しいと思います。
松井稼頭央選手のショートとしての失敗は、現在の日本人内野手のメジャー移籍にも現在進行形で影響を与えていると思います。
可能性があるのは坂本選手や今宮選手かもしれませんが・・・スケールだけ見たら松井稼頭央選手に見劣りするのではないでしょうか。今後数年は日本人メジャーリーガーによるショートの守備は見れないかもしれません。

意識を変える必要はあるのか?
先述しましたがメジャーと日本には身体能力だけではない差があると思います。それが意識。特に高校野球の意識です。日本はどうしても一番うまい子供がピッチャーをやり、次点がショートやキャッチャーといったポジションにつくことが多いと思います。ピッチャーは人気です。
でもアメリカの一番人気のポジションは諸説あるもののショートらしいのです。ショートに才能のある子供が集まる。これも先述した点取りゲーム要素が大きいと思うのですが、単純に打つ方(野手)が人気があるのだと思います。その中で一番身体能力が求められるショートというポジションが人気になるのは必然のように思います。
日本の高校野球はトーナメント戦です。金足農業の吉田投手を見ればわかるように、一人の大エースがいれば、無難に守れるチームであれば、ある程度勝ててしまいます。だから才能のある選手が投手に偏ってしまうのではないでしょうか?当然松井稼頭央選手のようにプロ入り後に野手転向するケースも多く、それが上手く働く場合もあるでしょう。でも、僕は大谷翔平選手がもしショートを守っていたら、メジャー含めても歴代最高のショートになれたような、そんな気もするのです。
日本人投手のメジャーリーガーは順調に増えています。それは良い傾向だと思います。でも毎日試合に出て、アグレッシブな守備で魅せる次代の松井稼頭央を、僕は見てみたいと思います。そのためには日本の高校野球は、むしろ弊害なのかなと思ったりしているわけです。

ベアハンドからすごく話が広がりましたが、こんな感じで一旦締めます。

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