見出し画像

Uberが子供向けサービスの展開で指紋採取論争が再燃

Uberが18歳以下の子供向けの配車サービス[Uber-teens]ドライバー本人確認について指紋採取を実施するか否かについて当局と対立を深めています。
過去にはLyftと連携して指紋採取を不要としてドライバーの登録を簡素化してきましたが、今回の新サービスでは安全性担保に向けて必須となり、通常サービスにも波及しそうです。
子供向け配車ではHopSkipDrive社が既に指紋採取&安全性強化を行っているところ、配車業界でも安全性担保への強化策が求めれると思われます

https://docs.cpuc.ca.gov/PublishedDocs/Efile/G000/M534/K762/534762550.PDF

1;Uber-Teensがライドシェアの課題を惹起

 米CA州;CPUCはUberに対して7/12までにドライバーの指紋採取施策についての回答を要請。Uber-Teens(10代向けサービス)でのドライバーの指紋採取を義務付けに係る議論で、当該サービスは24/02に開始されている
 Uberによると当該サービスは安全性を重視し、マッチングされるのは[最も経験豊富で高評価のドライバー]のみ。
 Teensの乗車ではリアルタイム追跡が有効となり、親に[リアルタイム情報][ドライバー名][車両情報][希望する降車場所]の情報を提供する
 -親が設定した固有PINをドライバーに渡す必要があり、ドライバーはPINなしでサービスを開始できない
 -当該サービスの開発にあたってはNPO; Safe Kids Worldwide(子供を予防可能な傷害から守る)と緊密連携しているとのこと

 UberはCPUCに対して事業実施にあたっての2016年裁定の確認を求め、今回のパブコメ/対応回答に至った
 2016年の裁定では["主に"未成年者の輸送を事業とする交通会社は運転手に指紋採取を含む厳格な身元調査を実施する必要がある]とされる。この時は[主に]の定義確認を要請しパブコメに至ったが、競合で子供向けライドシェアを行うHopSkipDrive(HSD社)からは指紋採取を支持する声が上がった

2;Uber-teensについて

 Uber-Teensは24/02にCA州で開始されたサービス、13~17歳の子供が親のアカウントを使って乗車予約/乗車が可能なサービス。
 現在の当該事業の乗車シェアは全体の10%未満であるとするが、ここに来ての事業展開は成長性を見込んでいることの証左だと。Uberは連邦政府/州政府の登録制度に拠らない自社の制度でドライバー登録を確認しており、それで十分とする
 議論の中心はUberが連邦DoJによる[Trustline]プログラムへの参加が義務付けられるか否か。TrustlineではCA州社会福祉局の登録簿と指紋を照合し、ドライバーの犯罪歴/有罪判決をスクリーニングしており、具体的にはUberドライバーの履歴から児童虐待/育児放棄の事実/疑いのある登録者を明らかにするもの

3;競合たるHSD社について

 HSD社は学区内/学区間での子供輸送支援を事業とし、親が子供の乗車を事前予約できるためUber-Teensと競合する可能性が高い
 HSD社にとってはこれまで規制を潜り抜けてきたUber/Lyftに自社/タクシー会社と同様の基準を課せる機会(同じ土俵に)となる。全米大都市でタクシー運転手に指紋登録/身元調査を義務付けているが、NY市を除いてUber/Lyftともに規制を回避できている
 今回のパブコメに際してHSD社はUberは2016年裁定で明記された要件を順守する必要があると主張。HSD社の政策担当副社長は[要件回避は成人/子供に限らず最高水準の安全基準が適用されていないことを示唆している]とする

4;本件についてのUberの姿勢/コメント

(Uberの広報担当)
 指紋採取に対してUberは反対論でのロビイングを行ってきた実績があり、7年前にはLyftと協働して[CA州でのドライバー向け指紋採取義務付け]の規制を阻止していた
 -[CA州でTeen向けサービス開始以前からCPUCと積極的に交渉して、親が子供を必要な場所に移動させる選択肢を準備した]
 -[規制プロセスには時間がかかるが、CPUCはTeenのいる家族/ドライバーにもたらす価値と安全性に関して理解してくれると信じている]
(Uberの主張)
 UberはChekr社経由で運転手の身元確認を十分に行っており、指紋採取は過剰な規制で不要であると主張。24/06にUberはCPUCに提出した書類で[CA州の運転手について毎年、犯罪歴/運転違反等の確認をしてしかるべき対応をしている]としている
 Uberの公式な主張は以下の通り
 -[指紋採取の義務付けによる不便さは、ドライバーがPF運転手がプラットフォームへの登録を躊躇する原因になっている]
 -[FBIの指紋DBは不完全で古い情報も入っており、指紋確認は疑惑を受けやすいマイノリティに不釣り合いな影響を与える]

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?