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Redwood社はGMと組んでバッテリースクラップの再利用を強化へ

バッテリー循環事業を担うRedwoodMaterialsはGMと連携し、GM/LGEで造成した合弁工場(バッテリー製造)から排出されるスクラップの再利用/再循環について提携を深めたとリリースされました。
Redwood社はEV搭載バッテリーの再利用を主事業として据えますが、同バッテリーの市場放出まで相当に時間がかかるところ、短期的/現実的な事業として工場の製造過程におけるスクラップに目を付けたようです。

1;RedwoodとUltium-Cellsの連携

 Redwood社は5/23にGMのEVに搭載されるバッテリーの生産スクラップをリサイクルする計画を表明。
 GMとLGEのJVであるUltium-Cells社と協力してオハイオ州/テネシー州の2工場から排出される負極/正極/セルのリサイクルを行う。工場は夫々26haの面積を持ち、年間80GWh以上の複合バッテリーセルと生産する想定で、そこから出るスクラップの殆どをRedwoodが引き受け
 一方でEVバッテリーの殆どは生産から時期が経っておらず、当面は寿命に達しないため実際のバッテリーリサイクルにはまだ時間がかかる。それ故にスクラップ品をリサイクルする今回のUltium-Cellsとの取組は重要に
 RedwoodはToyota/Panasonicとも連携しているが、当分EVバッテリーは出てこないことから短期利益を作るべく、今期の動きに出たとも。

 広報担当者は下記のように述べてリサイクルの有用性を指摘
 -[スクラップの生産は簡単な作業ではなく、平均的なバッテリー工場では5-10%のスクラップが発生してRedwoodは年間約1万トンの材料を管理。これはトラック1日分のスクラップに相当する]
 -[当社はUltiumのスクラップをリサイクルして高品質の電池材料に加工して、国産の負極/正極部品として電池メーカーに供給する予定である]

 ちなみに、GMはスクラップリサイクルに関して2021年にLi-Cycle社(加)とも提携したが解消済み

2;リサイクル隆盛の背景

 自動車OEM/電池メーカーが米中対立の中で、中国産希土類/バッテリーの輸入が厳しくなっておりリサイクルは最適な解決策として注目を集める。米国/欧州各国ではリチウム/ニッケル/コバルト/マンガン/黒鉛などの重要材料のリサイクル/国内生産への政府インセンティブが目白押し
 特に22/08に米国で成立したIRAでは電池製造/重要な鉱物加工に対する税額控除を規定しつつ、補助の強化も設定。Redwoodは23/02にネバダ州の工場建設にあたってDoEから20億ドルの公的融資を獲得、さらに追加でセル製造施設向けの25億ドルの公的融資も獲得していた
 昨今の原材料高を勘案するとリサイクルのみならず加工処理も長期戦略の一つとして位置付けられ、短期的には[アメリカでのスクラップ集約]→[アジアでの加工]→[米国での材料加工]によって売り上げを出すものと

3;その他

 Redwoodは23/08に施設拡大(電極銅箔とカソード活物質の生産強化)に向けて10億ドルを調達。
 当時、25年までに年間約100GWhの電極銅箔とカソード活物質を生産して100万台のEVに電力供給できると予想。加えて、30年までに生産量を年間500GWhまで拡大する想定でいた

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