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米下院で中国製コネクテッドカーへの審査強化法案が提出へ

米下院で中国へのデータ送信/共有に絡むコネクテッドカーの米国取扱いを制限する法案が提出されます。
中国を念頭にしたもので、中国/懸念国が製造に絡む製品を米国からの締め出しを狙うもので、対象は車両本体のみならずセンサー/ソフトなど多岐にわたっており、法案成立する場合には相当な影響が予測されます。
法案提出は6/3を予定しているとのこと、法案審議プロセスにも注目が集まりそうです。

1;米国でコネクテッドカー審査に係る法案が提出へ

 5/29に米下院議員Elissa Slotkinが中国製コネクテッドカーの導入制限/禁止を定める法案を議会に提出。[Connected Vehicle National Security Review Act]という法案でEVだけでなく、コネクテッド機能を持つ全車種が審査対象になるもので、中国企業がスマート/安価なEVで市場席巻する前にメーカーの行動を抑制/牽制することに目的を置く
 Elissa議員は下記のように述べて欧州/メキシコでの市場浸透を念頭に、早期対応が重要であるとする
 -[中国製のコネクテッドカーが米国市場に参入すると、中国政府に安全保障に係る米国情報が筒抜けとなる]
 -[収集されるデータには、米軍基地/重要インフラ(電力網/交通システム)に加えて政府高官の居場所を突き止められる可能性が高い]
 -[中国は欧州/メキシコのコネクテッドカー市場で急速にシェアを伸ばしているため、今のうちに手を打って防御を確実に強化すべき]

2;法案の中身と影響

 法案では商務省/その他連邦機関が国家安全保障を強化し、本件保護を将来の政権により撤回を防ぐことを可能とするもの
 商務省は中国/懸念国と何らか関係がある企業が[設計/製造/供給]するコネクテッドカーに関わるあらゆる販売/輸入/取引を審査する権限を獲得
 本法案は従来の関税政策強化を更に進めるもので、BYD等の中国メーカーが米国近隣国/友好国で製造した車両の輸入も禁止する可能性も

 本法ではEVも自動運転車も対象となる想定で中国企業と連携する各社は出方を見極めている状況
(自動運転)
 -WeRide/Pony.aiといった中国系自動運転新興の多くはCA州で試験走行の許可を取得
 -Waymoは中国の新興EV;Zeekrと専用ロボタクの供給について契約を結んでいる
(EV)
 -吉利汽車傘下のVolvo/PoleStarが米国拠点を置き、米国市場向けに出荷される(Volvoの大部分はスウェーデンで製造されるが次世代車はサウスカロライナで製造される予定)
 -Polestarは[北米/欧州の顧客情報を中国と共有してない]と強調し、Volvoは[GDPRに属した情報管理を厳格に行っている]と両社ともコメントしている

3;その他

 Elissa議員はCIA/国防総省での勤務経験を持つ下院議員で、中国製のコネクテッドカーの脅威について議会に繰り返し警告。5月初めの演説では[中国政府による多額補助][LiDAR/レーダー/カメラなどのセンサー搭載とデータ収集][中国当局への情報共有]の3つが中国製EVに入り込んでいると指摘
 5/23に成立した年次防衛費法案では同議員の指摘で[米軍基地での中国製コネクテッドカー禁止][国防総省による中国製ライダーの調達禁止]などが付帯条項として盛り込まれた
 本年2月からバイデン政権はコネクテッドカーの国家安全保障上のリスク調査を開始しているが、これに先んじて法案を提出した

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