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中国政府が自動運転ガイドラインを制定へ

中国政府が自動運転の商用利用/実証に向けたガイドラインを制定しました。
従来は地方政府毎に規制が異なり、それに基づく産業集積などで格差を生んでいた面もありますが、これにより全国一律での実行が可能となります。
米国よりも要件自体は厳し目ですが、自動運転の要件定義に加えて規制の曖昧さ排除が実現することで自動運転の実証/商用化への加速が期待されます。

1;中国交通部による自動運転ガイドライン

 12/11に中国交通部は自動運転サービスに関するガイドラインを公表。もともとは22/08に素案を公表してパブコメに供してから正式版をリリース
 本ガイドライン導入前は、各自治体で事業者向けに独自ルールを策定するなどで政策決定の枠組みは相当に分散していた。例えば北京/深圳/広州などは先進的な枠組み(無人/技術ドリブン)を実証推進しており、自動運転の先駆者になっている

2;ガイドラインの詳細と留意点

 ガイドラインでは自動運転はレベルに関係なく特定地域内での動作を認めている
 (自動運転バス) [密閉道路や条件が比較的簡単な道路]を走行する必要
 (ロボタク) バスよりは緩和、[制御された安全な交通状況]で許可される
 (トラック) [地点間の高速道路or良好な交通状況]のみに制限するとのことで、最も明確な制限に
-商業運用に向けた規制-
 商業運用を行うには[自動運転許可]に加えて、[公共交通事業ライセンス]を申請&取得する必要がある。また、自動運転車両には他ドライバーへの注意を促すために明確なラベルを付ける必要がある
-ソフトウェア-
 無線でのアップデートが安全性確保す工業情報化部の規制に従うことが義務付けられる
-安全オペレータ要件-
 様々なレベルでの自動化に向けた安全オペレータ(=有人走行)の要件を指定
(貨物車) 原則として車内安全オペレータの乗車が求められる
(ロボタク) 高度な自動化システムを搭載しても、車内安全オペレーターを1名配置する必要がある
(ロボタク) 完全自動化ロボタクは、特定地域を走行する場合に限り、3代以下を監視する遠隔安全オペレータの配置でOK
-事故発生時-
 事故が発生した場合には[車両の状態監視][車両保存]に加えて、事業者/規制当局の両方に重要データをリアルタイム送信することが求められる。自動車メーカー/安全管理者についても責任範囲の事前合意が必要。一方、米国では自動運転オペレータの報告義務付けにとどまる…
 事故発生時に共有されるべきデータは下記のとおり規定される
 -車両のナンバープレート/制御モードの稼働/位置/速度/加速度/方向等を少なくとも90秒間記録保持が義務付けられ、加えて当該環境に対する車両認識/反応/信号の状態/車の周囲の360度カメラの画像/リモート命令/故障診断についても説明が求められる
 データには車載機器からのデータだけでなく、運転手の行動/車内コミュニケーション/社内動画も含まれる
 現在でもDidiのようなライドシェアサービスでは既に安全目的に社内会話を継続録音しているが、一方でWaymo/Cruiseでは音声無し動画を記録し、サポート通話中のみ音声を記録している

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