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EUが中国製EVへの規制強化へ?!

 中華系EVが世界を席巻しつつある今日この頃ですが、EUが重い腰を上げました…政治系雑誌の"Politico"が報じたところでは、EUが中国生産のEVの輸入制限/関税賦課等の検討に入ったとのことです。

サマリ

 欧州市場では、中国政府が補助金やインセンティブを供与して有利な経済条件となったEV(原価割れ…)が市場シェアを急激に向上させて同じ土俵で欧州産のEVが戦えなくなっているとの認識をEUにおいて各国代表が共有。と君これまで制限に積極的だったフランスに加えて、制限消極派とされたドイツが積極姿勢にシフトしつつあり、EU2大国が足並みを揃える形になりました。
 ただ、今回の検討内容としては[中国産のEV]に対する輸入関税等の負荷となるため、足元欧州系/米系/日系各社も対象となり得ることから、どうも対岸の火事でなく注視する必要はあると思われです。

1;規制検討/規制内容

 中国産自動車等の多くの製品に対する規制強化はすでに米国で発動済みですが、今回は欧州/EUも中国製EVのダンピングに基づく輸入関税/制限強化の検討を開始したとのこと。
 具体的な制限策としては[輸入関税の強化]や[輸入量の制限枠設定]であり、EU規定では[対象製品が補助金などにより原価以下で販売され、EUに有害である]と判断した場合に輸入制限を課すことが可能であります。既に中国からの鉄鋼/アルミなどの素材では発動済みであり、前例アリ
 今回の記事ではEUのブルトン委員(域内市場担当)は規制強化/制限設置に支持を表明済みで、[域内産業に対して中国EVの輸入急増は大きな課題であり、EVに係るダンピング訴訟提起に賛成]と述べていますです。

2;自動車OEMへの影響

 今回取りざたされる規制適用には[調査→検討→判断→施行]のプロセスが必要で一定期間がかかるため、すぐすぐに影響はないものの属地規制になる場合には[中国産]が対象となり、多くのメーカーが影響を受けることになりそう。実際、殆どの欧州メーカーは中国で生産したEVを欧州に回送してるし、Teslaも中国/上海のギガファクトリーで生産したモデルを欧州に供給しています。
 こんな最中でVOLVOが新EVモデル;EX30をお披露目、価格/デザイン/性能においてモデルYのライバル足り得ると界隈では評されますが、手かせ足かせが多そうな船出です。こちらのモデルは、最小の電動SUV(全長4,233mm)で価格は35,000USD/フル航続距離440Kmと小回りの良さを強調しておりまして、加速度の良さ/最小のCO2排出量を売り文句としとります。ただ、VOLVOって親会社は中国;吉利自動車で、今回モデルも中国生産となるため[米国での減税対象外][本件EU規制対象]となりそうであります…不運です。


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