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Cruiseの事故に係る内部報告書が公表

Cruiseが10/2の事故とその後の一連の流れに関する内部報告書を公表しました。報告書は法律事務所によって作成され、事故とその後の対応/社内認識などに焦点が置かれています。
意図的な情報隠ぺいは無かったが、[メディア対応の悪手][規制当局対応の軽視][経営陣の無関心/無責任]といった要素を掲げています。

1;内部報告書の公表と政府捜査の事実

 1/25にCruiseは昨年の[ロボタクによる歩行者下敷き/引き摺り事件(10/02]について内部報告書を公表、連邦諸機関による捜査も明らかに。
 捜査は司法省/証券取引委員会/運輸省などの連邦政府機関に加え、カリフォルニア公共事業委員会なども実施。内部報告書は法律事務所;Quinn Emanuel Urquhart & Sullivanが調査/作成した

2;内部報告書

 調査のコアイシューは[車載カメラの動画の存在と意図的な隠ぺいの可否]であり、調査報告書では[意図的に規制当局を欺く意図はなかった]と結論付けた
 メディア/SNS報道による[Cruiseの自動運転車が事故を起こした]という間違った報道に対して是正しようとする向きが強すぎ、結果として[判断力の欠如][指導者の失策][規制当局との関係悪化]という評価への対応に注力するあまりに事故後の対応が極めて悪い状態にあったと。
 報告書は事故の技術的要因より、事故発生後の社内での対応や規制当局とのやり取りに焦点が当たっている

-報告書ハイライト-
(規制当局対応)
[近視眼的な対応に終始し、Cruiseはメディア/規制当局/政府関係者に"事故はCruise車でなく(その前に)日産車が起こした"ということだけ伝え、他の重要情報は伝えなかった]
[完全な動画を入手/確認した後もCruiseは公表現説を訂正せず、代わりに事故に関する不完全な事実/動画を垂れ流し、誤解を招いた]
[ロボタク事業許可の喪失は"自業自得"であり、これは規制当局との関与を甘く見た上級幹部⊡従業員によってもたらされた傷である]
[Cruise従業員は規制当局との会議で口頭説明せず一連の動画を流して見せるだけに終始、規制当局からの質問/コメントを想定していた]
(経営陣の関与/責任)
[Cruise経営陣は許可/免許停止後に事業巻き返しを図るべく発言/行動を行っていた]
[車内のSLACKでVokt氏は"事故処理中に、何が共有されたか一貫性のない報告しか受け取っておらず、間違った判断が如何にして起こったのか知りたいし、我々に責任は無い"と述べていた]
[経営陣はCruise史上最悪の事故に対して規制当局対応に積極関与せず、爾後も場当たりで感情的に対応していた]

3;これまでの経緯

-10/2-
 SF市で道路を横断して別車に轢かれた歩行者をCruiseのロボタクが下敷きにして引き摺る事件が発生。停止したロボタクは路肩に寄せようとして20フィート引き摺っていた(これは後日に明らかに…)
-10/2~-
 Cruiseは規制当局との会合に先立って100名以上の従業員に[ロボタクが路肩寄せの後にも前進した]事実を共有
 規制当局への説明やメディア対応を行うも、重要なイシューは出さずに[自社の車両が事故を起こしたわけでない]という主張に終始
-10/12~-
 CA州政府は自動運転の事業展開免許を停止、無人運転に関しても業務改善命令を発出
 Cruiseは自主的に事業停止を発表し、ロボタク/有人自動運転事業を停止
 GMは自動運転に対する資源拠出の緊縮を決定し、自動運転車の研究開発/製造を停止
 最終的にCEOのVokt氏は辞任し、従業員の24%近くが解雇された

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