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MVNOの競争力強化へ政府がテコ入れへ

17日の日経でMVNO(格安スマホ)への回線貸出料金下げに関する記事が出ていました。議論自体は7月くらいから出ていたところではありますが、段々と蓋然性が高くなってきたと。ちょいとまとめてみました。

【サマリとインプリ】
<記事サマリ>

・MVNOの競争力強化に向けて総務省は回線貸出料金の計算方法改定を進める方針
 ┗データ通信回線…需要伸び/コスト積上をベースに計算されて値下げ進展
 ┗音声通信回線…過去8 年間横ばいで、結果的に高止まり
・総務省は音声通信回線の算定基準をコスト積上とすることで低減化を企図
 ┗当該変更により、現状の半額程度にし得るとのこと
<本件インプリ>
・9月開催の競争環境研究会に法人テレコムサービス協会が提出した意見に準じ、蓋然性高し
 ┗音声通話の料金設定に対する疑義を惹起
 ┗特に、5G移行を控えて、4G/LTEの貸出料金レートは益々下がる可能性
・MVNO貸出料金の低減化は通信事業者における収益源の細りにつながる…
 ┗既存のアセットのマネタイズはまずます難しくなるため、非通信ARPUの増強が求められる
 ┗特にDCMへのインパクトが大きいとみられ、DCMが非通信の事業に更なる本腰を入れてくる可能性も。

【記事】
 総務省は格安スマートフォン会社が通話サービスを安く提供できるようにする。携帯大手が格安スマホ会社に回線を貸すレンタル料金に基準を設け、事実上の値下げを求める。今は30秒で20円かかる格安スマホでも、時間に制限のない定額プランができるようになる見通しだ。政府の思うほど携帯電話料金の値下げが進まない現状を踏まえ、競争を促す。
 格安スマホ会社は自前の通信回線を持たず、NTTドコモなどの大手携帯事業者に借りている。店舗を持たずにネット販売に特化することなどでコストを抑え、動画視聴やネット検索などのデータ通信サービスを大手より安く提供している。
 一方、通話は30秒で20円かかることが多く、長く話すとお金がかかる。通話機能を持つアプリを入れれば通話できるが、一般の携帯電話に比べると通話先などに制限がある。大手キャリアは時間制限のない割安な定額プランがある。格安スマホの各社は大手に30秒あたり14円の回線レンタル料を払っているため、無制限の定額プランの提供は難しい。
 総務省は19年度中をめどに通話の回線貸し出しに関する基準をつくる。回線の設備投資や維持費などのコストに基づくレンタル料の算定基準を示す。料金の指標も設定してすぐに適用する。各社のレンタル料が指標と大きく離れれば説明を求め、引き下げを要請する。
 データ通信の回線レンタル料は需要の伸びとコストをもとに計算され、3社とも毎年1~2割下げてきた。通話にかかわるレンタル料はコストが反映されず、高止まりしている。総務省内では基準を設けて反映すれば、レンタル料を半額程度にできるとの見方がある。格安会社は利潤を乗せてサービスの料金を設定するが、大きな値下げにつながる可能性が高い。
 格安スマホには楽天モバイルやインターネットイニシアティブをはじめ千社以上が参入しているが、市場シェアは1割程度にとどまる。データ通信は安くても、通話料金が高いことが欠点の一つだ。通話料を大手並みに下げられれば、スマホサービスで対等に競争できる環境が整う。
 NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3社は総務省の方針を受け、レンタル料の下げに向けて調整に入るもようだ。総務省の有識者会議でドコモは「より使いやすい料金の提供に努める」と表明した。ソフトバンクも「(大口顧客への)ボリュームディスカウントの導入など(格安スマホに)メリットのある方法を検討する」としている。
 総務省は有識者会議で基準策定に向けた議論を進め、一般の意見を募ってから決定する。3社は総務省の基準策定をにらみながら値下げ幅や条件などを検討していくとみられる。
 携帯電話は大手による料金競争が不十分な状況が続く。総務省は格安スマホ会社の競争力を高め、料金を下げる方針だ。大手は広告費や端末の品ぞろえなどで優位にたつが、消費者の選択肢が広がれば大手の値下げにもつながる可能性がある。

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