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米Aurora-Solar社が規制変更でがけっぷちに…

西海岸を拠点に太陽光発電パネル設置事業者向けの業務効率化SWを提供するオーロラ・ソーラーが従業員レイオフに動いています。
足元のCA州における規制変更に基づくもので同社顧客の多くが市場緊縮の煽りを受けて停止状態となる中で、大打撃となりました。
一昨年に40億ドルの評価をつけた同社ですが、今後の再編/再生に注目が集まりそうです。

1;オーロラ・ソーラー(AS社)の事業再編

 太陽光発電設置事業者向けの効率化SWをSaaS展開するAS社が従業員の20%にあたる500名を解雇したと報じられる。
 2023年の太陽光発電業界は記録的な成長を遂げたが、CA州における軽量方式(NEM3.0)の変更が大きな影響をもたらしたとされる。具体的には買取量の軽量方法の変更に伴い、住宅所有者が電力会社に売電した場合の支払額が75%近く減額され市場が収縮した。

 AS社の担当によるコメントは下記で外部環境の悪化を主因としている
 -[太陽光発電業界の他社同様に、金利上昇やCA州のNEM 3.0影響など、より大きなマクロ経済的課題の影響を受けた]
 -[過去1年の成長目標は未達で、11月の20名解雇に続くもの]

 NEM3.0の施行を受けてCA州政府は補助金/奨励金の予算を設定したが、バッテリーシステム+太陽光発電の併設が必要。

(バッテリーシステム)
 営業担当者は[家庭のエネルギー使用量を計算]→[家庭の配電盤サイズを調整]→[バッテリー設置個所を決める]といった活動が必要
(太陽光発電)
 [屋根/周囲の樹木/建物の衛星写真を確認]→[画像ベースでアタリ付けて販売]でOKで、そこからSW用いて発電量算定が行われる
 結果として営業工数/インストールが工数高くなり、設置量/販売量が激減した

2;AS社とは

 SF市を拠点とするソーラーパネル設置の効率化SWをSaaS提供する新興企業でSeries-D。
 LiDARセンサーデータ/コンピュータ支援設計/コンピュータビジョンを組み合わせてソーラーパネル設置を効率化する。主力商品は[SmartRoof]で、太陽光発電の設置業者は[建設現場の3D-CADモデルを作成][パネルの枚数予測][発電量/省エネ効果予測]が可能に。
 AS社は22/02にSeries-Dを完了しており、2億ドルを調達して調達総額は5.23億ドルに達した。Series-D段階での評価額は約40億ドル

3;その他

 NEM3.0の影響は苛烈で、AS社の顧客(7000社)の殆どが影響を受けたとのこと。AS社顧客は太陽光発電設置業者上位100社の90%で使用されているとのことだが、小規模事業者も多くて影響が大きくなった。

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