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FactorialはEV実装検証に向けたBサンプル固体電池を出荷へ

米国の電池スタートアップであるFactorial社が固体電池のBサンプルをMercedesに無事納入したと発表しました。
Aサンプル提供から7か月程度でBサンプル段階に移行し、MercedsでもEVへの搭載実験を行うとのことです。
既にAサンプルは1000個以上納入しており大量生産への準備も加速しており、固体電池の実装に弾みがつきそうです。

1;MercedesへのBサンプルの出荷/提供

 6/5にFactorialはパートナーであるMercedesに対して個体電池Bサンプルが無事納品されたと発表。現在進行中の共同開発における重要マイルストンと位置付けられ、個体電池のBサンプル出荷は世界初。
 更に1000個程度の[100+Ah個体電池セル]を納品、個体電池の主要サプライヤとして大量生産できる能力をアピールした

 創業者/CEOのSiyu Huang氏は下記のように述べてイノベーションの成果を協調
 -[Bサンプル段階に進み、Mercedesのような大手OEMと節目を迎えられることを大変嬉しく思う]
 -[1年未満で AからB段階に迅速に進んだのは当社のイノベーションの証左であり、引き続き自動車分野での固体電池の採用を加速するために限界に挑戦する]
 -[当社の高エネルギー密度セルは、EVの航続距離/コスト/性能の新たな基準を世界的に確立し、より効率的で持続可能な車両製造に役立つ]
 Mercedesの取締役CTOであるMarkus Schäfer氏も下記のように述べて最高のEV製造に自信を見せた
 -[当社は革新的なバッテリー技術をリードすることに注力しており、Factorialとの協業は戦略の重要な部分を占めている]
 -[Bサンプルにより、個体電池の技術検証する機会を得て、航続距離と性能向上/車両全体のコスト削減を通じて最高のEVをお客様に提供する]

 ちなみに個体電池の検証に加え、将来的に車両テスト/EV上市段階を見据えた拡張性の確保に向けてFactorialとの製造プロセス連携を検証するとも

2;Factorial社について

 マサチューセッツ州に本拠を置く固体電池開発会社で、創業から10年にわたってEV 向けの高エネルギー密度の技術開発/製造に注力。
 既存LiBに比べて[走行可能距離][安全性][コスト競争力]で優位な革新的な固体電池を開発。既存のLiB製造装置と互換性がある設計で、OEMとしては個体電池の実装をしやすくなる

 専有技術FEST(Factorial Electrolyte System Technology)は独自の固体電解質材料/大容量の正極/リチウム金属負極を用いた固体電池セルで、リチウムデンドライト形成を抑制して電池の安全性/安定性が大幅に向上。
 既に40Ahセルに実装され、室温稼働/既存LiBの製造設備の流用が可能

-これまでのリリース-
・23/01;CESで主力製品[FEST固体電池]の100Ahのプロトタイプを初公開。
・23/05;自社テスト向けのOEM向け出荷に係る国連要件を取得
・23/10;国連要件をパスしたAサンプルをOEMパートナーに送付/共有を実施
・24/04;LG-Chemとプロセスの迅速化に向けた提携覚書の調印を発表

3;その他

 サンプルの種別は下記の通りと認識されている
 -Aサンプル=[初期設計段階で作られる試作品]で、設計方向性を示すもの
 -Bサンプル=[Aサンプルに基づいて改良された設計に基づく試作品]で、機能/性能がほぼ最終段階のもの(実際の使用環境での性能/信頼性を評価することが可能)
 -Cサンプル=[最終製品として上市する前の最終試作品]で、大量生産開始前に製造工程/品質/機能性を確認するもの
 -Dサンプル=実際に量産され、市場に出回る製品そのもの
 
 FactorialはStellantis/Hyundai/Kiaを共同開発契約を結んでいるが、Bサンプルはまだ出荷されていない模様

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