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Motionalは事業再構築でロボタク事業遅延/レイオフ実施へ

Hyundaiの抱える自動運転SW新興であるMotional社は最近の資本移動/増資による再編を経て、事業再構築に乗り出します。
現状の事業は一旦停止してコア技術開発/事業モデル再構築にリソースを注いで、来たるべき自動運転に備えるとのこと。
また、従業員の40%にあたる人員レイオフにも着手しているとのことです。

https://www.autonews.com/mobility-report/self-driving-job-cuts-hyundai-backed-startup-motional-hits-brakes

1;Motionalによる事業再編

 HyundaiとAptivのJVで自動運転SW開発を行うMotionalは事業再編に伴い事業を一時停止、ロボタク事業の立上を遅らせるとのこと
 事業再編は資本維持をしつつ、コア技術/事業モデルを再検討することを目的とする。伴ってHyundai Ioniq 5によるロボタク事業の開始は計画より2年遅れ、2026年になるとのこと
 事業再編は[商業事業停止]と[コア技術の継続開発]で構成される
(商業事業停止)
 ラスベガスでのUber/Lyftのネットワークを通じたIoniq 5によるタクシー乗車を含む事業(有人)。
 サンタモニカでの自動運転車を使ったUberEatsの配達事業(有人)
(コア技術の継続開発)
 コア技術の構築により多くの資源/資本を注込み、他都市での実行も含めた実証の追加実施。現在はボストン/ピッツバーグ/ラスベガスで実行しているが拡大する可能性が高い

2;Motional社内での情報共有

 社内の匿名情報提供者によると全社員に説明がなされ、その後に詳細がメディア等を通じて明らかになったとのこと
 -[5/7の全社会議で従業員に対し、レイオフも含む事業再編となるが人数は明らかにしなかった]
 -[CEOや幹部によると、継続的な商用事業コストの高さ及び自動運転車技術コンポーネントの高さで、事業化実装が困難になっているとのことだった]
 -[ただ、目指すビジョンは変わらず、Hyundaiによる追加投資は方向への支持と正しさの表れと認識していると語ったとのこと]

 その後、一部従業員に対して解雇通知を開始、24/03にも従業員5%削減が行われたが、その時点で1,300人以上を雇用していた
 MotionalのCEO;Karl Iagnemma氏のコメント
 -[短期的な商業展開や補助的な活動には重点を置かず、中核となる無人技術の継続開発/一般化に資源投下する]
 -[自動運転車は、技術進化と導入ユースケース/ビジネスケースの明確化が重なって初めて市場に投入されると認識している]
 -[我々は技術進歩の速度に興奮しており、最初の商用導入では貴重な洞察を得たが大規模導入にはまだ早いと考えるに至った]

3;Motionalのレイオフ

 州政府の通知や関係筋によると、自動運転SW開発を行うMotional社は従業員の40%/550人を解雇したとのこと。全事業部門が対象となっており、COOのAbe Ghabra氏を含むCxOレベルの人材はほぼ退職
 レイオフの代償は割増給与/退職金/休暇などで構成されたパッケージ
 -割増給与(7/6を最終出社日とする10週間分)/退職金(28.5%の賞与)/休暇
 -[雇用重複を防ぐための再雇用通知]を従業員に求めつつ、ストックオプションは株価未確定のため保留とする
 公式/社内関係者によると多くの幹部/全事業部で縮小の動きが起きているとのこと
 -高性能計算チームがDirectorのDavid Fomore氏を含めて事業閉鎖
 -自律運行/クラウド運用を担当する技術管理チームは44人から19人に削減
 -シリコンバレーオフィス(コンピューティング設計部門)及びLAオフィス(UberEATSの配達)の縮小
 -事業支援(運用/テスト/安全性)及びコーポレート(サイバーセキュリティ/法務)でも従業員が削減

 5/10にペンシルバニア州労働産業省に提出されたWARN通知によると、解雇従業員のうち約145人はピッツバーグ出身だった。当該人員はソフトウェア開発に従事、他州(CA州/NV州/MS州)でも試験を行っていたが、これら州への通知はまだ提出されていない

3;レイオフ後に残るもの

 今回のレイオフでも[自律運転][インフラ]のソフトウェア部門はほとんど影響なしだったとのこと。限られたリソースではあるが、コア技術/事業モデル改善に向けて残った人材や資本を充てる方針
 Motionalは[(自動運転の)導入と補佐する活動]と題して以下の通りの声明を発表
 -[最新の戦略ではチーム合理化が必要となり、結果として事業全部門でスタッフが削減される]
 -[Motionalを離れるチームメンバーに対して、目標貢献に深く感謝している]

 一部関係者はMotionalのコア技術には改善すべき点が多く、Waymoには程遠い位置にあるとする。Waymoが既に自動運転を行っているのに対し、Motionalは有人の安全オペレータ付の車両で事業実施している

4;その他

 今回の再編はHyundaiによるAptiv持ち分引受などの資本移動から1週間と経たずに実施された動きで、Hyundaiは追加で10億ドル近く投資し、4.75億ドルはMotionalの資本充当(新株)が為された
 現時点のMotionalの評価額は今回の資本移動を加味して41億ドルとのこと
 24/01にAptivがロボタク/自動運転の将来性への不安視/不信を表明した後、Motionalの成長性/将来にも疑問符が出ている中であった…

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