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TeslaのADAS;FSDに係る予審は行政訴訟として本格公判へ

TeslaのFSD(完全自動運転)に関してCA州DMVが誇大広告として行政訴訟へ予審を行っている件につき、司法当局が本審理/公判に移行すべきと判断しました。
当初のAuto-Pilot時代にはTeslaも[飛行機の自動運転と同じようなモノ]と説明していましたが、FSDの拡大/普及にあたっては自動運転を強調しすぎた感があります。
Teslaの件は注目に値しますが、ADAS/半自動運転は運転に慣れていないと事故を引き起こす要因にもなりえ、販売にあたっての文言には留意が必要と思われます。

1;CA州司法当局がTesla事案を本格審理へシフト

 6/10にCA州行政裁判所は[CA州FSDvsTesla事案]について本格裁判に進むべきと裁定を下した。Teslaは裁判開始前に訴訟却下に持っていきたかったが、公判継続という判断に。Teslaは本件訴訟が[言論の自由の侵害に当たる]と主張していたが、抑々この権利は虚偽広告には適用されない…
  裁判/継続公判に至るまでのTesla誇大広告事件の主要事象は以下の通り
 -21年;CA州運輸局(DMV)がFSD広告についてTeslaへの調査を開始、[Teslaの一般消費者への売り文句とDMVへの説明に齟齬]があったと表明
 -22年;DMVは正式な調査照会を送付、[Teslaによるシステム機能への誤認識誘導]について回答を求めた
 -22年~;Teslaは回答を複数回提出するもDMV及び裁判所から[不備][虚偽]を指摘され、裁判所からは[Teslaの提出物には説得力が欠ける]とまで評された
 -24年;5月に連邦判事は別件訴訟で[Teslaは自動化の立証が出来ず、集団訴訟に直面する可能性がある]と裁定、同様にSECも広告における虚偽記載/証券詐欺の可能性を調査している

2;問題のFSD広告

 今回の事案での問題はTeslaが自社ADASを[AutoPilot(AP)][FullSelfDrive(FSD)]と呼んで消費者を欺いたとされるもの
 -AP;FSDより機能性は少ないADASの初期Verで価格も安い
 -FSD;運転支援機能は高く、価格も8000-15000ドル]
 最初の機能であるAPは口語的には[ドライバーが道路に注意を払う必要がない]という意味があるという議論もあるが、一方でTeslaは[APは飛行機同様の操縦SWを指し、飛行機でも注意深いパイロットが操縦する必要がある]と主張。加えてFSDに関してははるかに完全自動運転という意味が明確で、マスク氏も[Tesla車は近い将来に自動運転できるようになる]と10年近く主張し続けるが、未実現…

 FSDは改良を重ねて、多くの機能が追加されてきたが、完全自動運転には至らずで利用時にドライバーは慎重で積極的な注意を要する
 FSD自体はAPより高い機能を備えるがSAEの自動運転システム分類では[Lv.2]で、現在米国の公道を走る車でSAE基準;Lv3を獲得しているのは[EQS:Mercedes Drive Pilot][Waymo]の2つだけ

3;その他

 TeslaはFSDについて[Supervised(監視付き)]と呼び始め、ドライバーによる車両監視が必要であることを強調。24/04に全Tesla所有者に1か月間の無料FSDトライアルを提供したのと同時に改称、Musk氏は[FSDがスムーズに実行できるようになったら外す]としていた
 Teslaは未利用者への注意喚起と継続中の裁判審理における[虚偽広告訴訟への対応]として対応したとも
 裁判の結果は審理次第だが、一部のオーナーはFSDについて個別訴訟を起こして勝訴する事例も。例えば英国では[Teslaに期待に沿った機能を提供しなかった]として1万ドル+オーナー所有者の機能無料アプデを命じた

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