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無数の生活

電車に乗っている。
ひとり。
日が落ちてから、もう2時間くらい経った。

窓の外には、たくさんの明かりが見える。
街灯、車、光にもたくさんある。
でも、一番たくさんあるのは家の窓の光だ。

電車は走れど走れど、窓の光の群れは絶えない。
どこまでいっても、家の窓は輝いている。

いったいいくつの家が、そして生活が、その光の中にはあるのだろう。
考えてはいつも、気が遠くなる。

一つ一つの窓の中に、一つ一つの生活があり
一つ一つの生活の中に、たくさんの物語があるのだろう。

無数の窓から生み出される、無数の物語は
記録されることなく、ほとんどは顧みられずに
垂れ流されている。

こんなにたくさんの物語は、いったいどこに消えるんだろう?
ユーラシア大陸は、実は海を物語で埋め立ててできたものなんだろうね。


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