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短歌 新作8首 『その瞬間を』

見せたい景色。伝えたい言葉。いっしょに行きたい場所。
移り変わる毎日の中で、ふと追い求めている面影がある。
さっきも、今も、そして明日も、何かに心が動くとき、隣にいてくれたらいいのにと思う。

そんな気分を、8つの短歌で書いてみました。

第一歌集『愛を歌え』には収録されていない新作です。
もしも気に入っていただけたら、ぜひ『愛を歌え』も読んでみてくださいね。
あの俵万智さんが帯文で「今を生きる愛の名言が、ここにある。」と太鼓判を押してくださった、295の短歌で綴った物語です。

その瞬間を

〝雨が降りそうな天気〟が〝雨〟になるその瞬間をあなたと見たい

大雨がコンクリートを打ち付ける 俺の耳には歌に聞こえる

公園のもう動かない時計だと知っているのに見上げてしまう

低気圧のせいにする髪が決まらないこともあなたを愛したことも

ひとり暮らしなのにトイレの鍵をかける俺はそういう人でありたい

返信が来ない間に過ぎ去った嵐を君の名前で呼ぼう

この部屋は何時に雨が上がろうとどのみち虹の見えない角度

変わったのは俺の方だね。写真なら色を留めるマジックアワー

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