見出し画像

短歌 新作7首 『move on』

画像1

何かを積み上げるには、他の何かを崩す必要がある。
何かを手にするたびに、僕らは何かを手放している。
始まりは、何かの終わり。そして終わりは、何かの続き。
行ったり来たり、背中合わせな日常をふらつきながら、進むべき道を探している。

そんな気分を、7つの短歌で書いてみました。

第一歌集『愛を歌え』には収録されていない新作です。
もしも気に入っていただけたら、ぜひ『愛を歌え』も読んでみてくださいね。
あの俵万智さんが帯文で「今を生きる愛の名言が、ここにある。」と太鼓判を押してくださった、295の短歌で綴った物語です。

move on

きっとまだどこかに君が附着した部屋に差し込む最後の夕陽

気に入ったグラスはいつもペアで買う いつか出逢えるあなたの為に

バス・トイレ別、独立洗面台付き、死ぬには低すぎる2階建て

かんたんに終わりがやって来ないようにLEDの電球を買う

人間は独りじゃ生きられないから“必ず2人で組み立ててください”

もう君はたぶん帰って来ない、床にひっくり返ったチキンラーメン

産声は届かなくても南風が背を押す窓辺で俺は生きる

あらゆる言葉が無料で読める時代。 それでも、もしも「読んでよかった!」と思っていただけたら、ぜひサポートお願いします。 また新しい言葉を書くために、大切に使わせていただきます。