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短歌 新作8首 『次のステップ』

行動を起こすには、いつも勇気がいる。
平和な今が変わってしまったり、曖昧だった未来がくっきりと縁取られて怖くなったりする。
けれど、それがたとえ今より険しい道であっても、ここに留まるのでなく、前へ進みたいと思う。

そんな気分を、8つの短歌で書いてみました。

第一歌集『愛を歌え』には収録されていない新作です。
もしも気に入っていただけたら、ぜひ『愛を歌え』も読んでみてくださいね。
あの俵万智さんが帯文で「今を生きる愛の名言が、ここにある。」と太鼓判を押してくださった、295の短歌で綴った物語です。

次のステップ

シャンプーの匂いがいつもと違うからつい寝過ごした実家のベッド

おじさんもそうだったかな。難しい名前のゲームを甥っ子に買う

名駅の方から西日が差し母のブラを畳んでいる木曜日

松の幹のように皺が増えた父と並んで食った蕎麦屋、旨かった

眉頭きゅっと上げながら感嘆符を抱えて街を行くような君

胸懐の奥に形じゃないものでなきゃ埋まらない空白がある

「飲む?」と君がペットボトルを差し出して許されているのかもしれない

定かではないけど次のステップへ進みたいから隣に座る

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