見出し画像

【ウレタン塗装】ポリエステル塗装との違いは?スピーカーエンクロージャーの塗装方法について。


【スピーカーエンクロージャーの塗装の違いについて】


スピーカーエンクロージャーの塗装には、ポリエステル塗装やウレタン塗装があります。

どれも工業製品に使われる油性塗装ですが、音響や設計仕様にあわせてそれぞれのメリットをいかした塗装方法が重要です。

今回はスピーカーエンクロージャーの塗装例をもとに、塗装による仕上がりの違いやメリットを解説します。

▽スピーカーエンクロージャーの制作事例はこちら

【ウレタン塗装】


ポリエステル塗装と比較して柔らかな仕上がり

ウレタン塗装はポリエステル塗装と比較して塗膜厚が薄くやわらかくなります。こちらはバフ研磨を施していないので光沢や艶は控えめです。写真二枚目が塗装工程のサンプルになります。

(製品:SS-NA2ES ソニー㈱)

着色と塗装で色の美しさを引き出す

ワイピングと呼ばれる着色工程に加え、ウレタンカラー塗料を重ねることで奥行きのある色を表現できます。製品の材料やナチュラルな色を活かす場合におすすめの塗装方法です。

【ポリエステル塗装】


バフ研磨でピアノのような鏡面仕上げ

コンパウンド(磨き粉)を付着させ、バフ研磨でポリッシュ加工することによって表面の凹凸が滑らかになり鏡のような光沢がうまれます。ポリエステル塗装はウレタン塗装と比べると硬度が高いので、機械研磨によって美しい仕上がりになります。

(製品:DIASOUL.I(株))

トップコートのポリエステル塗装前の製品

アンダーコートのポリエステル塗装の表面を研磨した状態です。サンディングペーパーで表面を荒くすることにより、上塗材の密着性を高める効果があります。ポリエステル塗料と研磨作業を複層繰り返し、光沢と艶出しの仕様にあわせて多層塗装します。

(製品:DIASOUL.I(株))

ウレタン塗装より硬い仕上がり

ポリエステル塗装はウレタン塗装と比べて塗膜厚が厚く塗膜が硬いので、耐久性に優れた塗装方法です。表面を薄い樹脂の膜がコーティングするので表面を保護し、またウレタン塗装より木材の経年劣化の影響が少ないというメリットがあります。また、こちらはクラロ・ウォールナットという非常に希少な突板を使用したキャビネットで、木目を生かした塗装が可能です。写真二枚目が使用している突板になります。

突板については以下の記事でご説明しております。

音質とポリエステル塗装の関係

こちらはアンダーコート、トップコートともにポリエステル塗装です。ポリエステル塗装を重ねた場合は材質に強度が出るため、音の響きが硬くなる傾向があります。

(製品:DS-4NB70 三菱電機エンジニアリング㈱)

※シーラー塗装のみ

塗装面の下地処理としてシーラー塗装をした状態です。

シーラー塗装には

  • 下地を整える

  • 上塗り材の密着を良くする

  • 塗料の吸いこみを防ぐ

といった効果があります。
そのためMDFや突板、無垢材など、使用する材質によらず一定品質で塗装ができます。下地の保護を目的としたプライマーなども併せて、下地処理は重要な工程です。

強度と音質・品質にこだわる

ハイエンドスピーカーキャビネットの高級感を表現するために、上塗り、中塗り、下塗りに加えて塗装を通常より多く塗装を重ねています。写真二枚目が、塗装工程のサンプルになります。

(製品:SS-NA2ES ソニー㈱)

【ウレタン塗装×ポリエステル塗装】


塗装の複合で高級感を表現

ハイエンドスピーカーキャビネットの高級感を表現するために、下塗り部分にポリエステル塗装、中塗り、上塗り部分にウレタン塗装を重ねています。

(製品:SS-AR1)

【ポリエステルカラー塗装】


ポリエステルカラー塗装でカラーが引き立つ

ポリエステル塗装(カラー:ホワイト)を施しました。ポリエステルカラー塗装によって、艶のあるカラーを表現できます。

【スピーカーエンクロージャーのウレタン塗装依頼ならお任せください。】


いかがでしたでしょうか?メーカー様の設計仕様に合わせて、小型から大型まで塗装が可能です。今回ご紹介したほかにも、水性ブラック塗料、バトン塗料を使用したオイルステイン塗装などもあります。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?