![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/41501847/rectangle_large_type_2_0e98b0680d97cd49fc92eedaf2266667.png?width=1200)
X2Oバドカマー・トロフェー2020-2021 第4戦「ヘーレンタルス」
シクロクロス3大シリーズ戦の1つ「X2Oバドカマー・トロフェー」の第4戦が、12/23(水)にベルギー・アントウェルペン州の街ヘーレンタルスを舞台に開催された。
このヘーレンタルス――ワウト・ファンアールトの生まれ故郷――は、今回が初開催のコースであるという。郊外の丘を利用した激しいアップダウンコースはただでさえ体力を奪う厳しいコースの上に、この日は生憎の雨。タイヤが半分埋まるような水溜まりが点在した悪路にて、男子でも1周のラップタイムが10分前後というハードレースが展開された。
※女子レースは観られなかったため、男子レースのみのレポートとなります。
1周のラップタイムが長かったため、男子でも6周。
狭い道も多いこのコースでは1周目から先頭で走ることに重要な意味がある。ここ数回のレースで常に序盤は番手を下げていたマチュー・ファンデルポール(アルペシン・フェニックス)が、この日は最初から先頭を突き抜けていった。
当然ここに食らいついていったのが、ファンデルポールの最大のライバル、ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィズマ)。
現在X2Oトロフェー総合5位で前回のUCIワールドカップ第2戦「ナミュール」でも4位とかなり絶好調なマイケル・ファントーレンハウト(パウェルズ・サウゼンビンゴール)がこの最強2名に食らいついていったものの、2周目に入ったころには彼も突き放される。
3周目に入るとファンデルポールがさらに加速し、ファンアールトも10秒以上離されて追いかける立場に。
スーパープレステージュ第6戦「ガーフェレ」ではトム・ピドコックに敗れ、「ナミュール」でも息も絶え絶えといった様子でフィニッシュに辿り着いていたマチュー・ファンデルポールだったが、昨日のエティアスクロス・エッセンに引き続き昨年までのような圧倒的な走りを披露するファンデルポール。
X2Oトロフェー前節の「アントウェルペン」ではファンデルポールにわずか6秒のリードしか許さなかったエリ・イゼルビット(パウェルズ・サウゼンビンゴール)も今日は全く歯が立たない様子で、ずるずるとタイムギャップが開いていく。
このまま、ファンデルポールが圧勝してしまうのか。
しかし、そう一筋縄ではいかないのが今年のシクロクロス。
なんと、4周目のピット(バイク交換エリア)を通過した直後に、後輪がパンク。
あっという間にワウト・ファンアールトに追い付かれたばかりか、これに抜かれ、そしてファンデルポールがピットに到着する頃には、そのタイム差は30秒近くにまで開いていた。
「もう追い付けないことは分かっていたし、切り替えてこのコースを楽しむことに決めたよ」
Van der Poel: "I had a flat tire just after the pit. Then I was 30 seconds behind Wout. I'm smart enough to know that I wouldn't close that gap anymore. Then I just tried to enjoy the course, it is one of the nicest races I have done. Hopefully this race stays on the calendar."
— Cyclocross24.com (@cyclocross24) December 23, 2020
マウンテンバイクばりに荒れた路面、でこぼこした路面を特徴とするこのコースでは、より気圧の低いタイヤが有利だと睨んだのが仇となったのか。
一方で、同じく気圧の低いタイヤで臨んだワウト・ファンアールトは、序盤の2度のバイク交換によるタイムロスを犠牲にしてでも是正を図り、それが最終的には成功に結び付いた。
タイヤ戦略・ピット戦略という、またちょっと違った要素での戦いが繰り広げられることとなったと言えるかもしれない。
いずれにせよ、ややライバルの不運に助けられた格好ながらも、初開催となった地元コースにて、今シーズン初勝利を飾ることに成功したファンアールト。
フィニッシュシーンで胸元のスポンサーアピールをしようにも残念ながら泥にまみれてほとんど文字が読めなくなっていたが、それでもこの勝利は実に価値のあるものとなった。
🏆 X2O Trofee Herentals ME (C2) 🇧🇪
— Cyclocross24.com (@cyclocross24) December 23, 2020
1 🇧🇪 Wout van Aert @WoutvanAert
2 🇳🇱 Mathieu van der Poel @mathieuvdpoel
3 🇧🇪 Michael Vanthourenhout @vth_michael
4 🇧🇪 Toon Aerts @ToAerts
5 🇧🇪 Eli Iserbyt @IserbytEli
➡️Results: https://t.co/Yav5Mt9XZP pic.twitter.com/iaYaIWuvfS
シーズン序盤は不調さが目立ったワウト・ファンアールト。
短いスペインキャンプを経て、前回の「ナミュール」での好走に続くこの日の勝利。
強いワウト・ファンアールトが復活し、そしてマチュー・ファンデルポールとの・・・およそ2年ぶりとなる接戦を2戦連続で繰り広げてくれたことは、素直に喜ばしい。
今日は残念ながら「もう1人のライバル」トム・ピドコックは欠場していたものの、今シーズンこれから先のレースも実に楽しみになる。
ファンアールト、ファンデルポールが圧倒的な強さで他のライバルたちを完膚なきまでに叩き潰した今回のレース。
現在、X2Oトロフェー総合首位に立つヨーロッパ王者イゼルビットは2分18秒遅れ。もともとファンアールトもファンデルポールもこれまでの4戦中2戦を欠場しており、欠場ペナルティ5分×2を加えて10分のビハインドを背負ってはいるものの、それでも総合TOP10に入り込んでくるほどの事態となっている。
さすがにこの2名が総合優勝を争うことはありえないが、今回、イゼルビットがチームメートのファントーレンハウトとのタイム差を(ボーナスタイム含め)50秒近く詰められてしまったのは注目すべき事象だ。
前述したようにここ最近かなり調子を上げてきているファントーレンハウトに対し、昨シーズンもシーズン後半で段々と序盤の勢いを失っていたイゼルビット。今なお3分以上の総合タイム差を保ってはいるものの、最後まで決して油断のできない状況である。
次回は土曜日、12/26のスーパープレステージュ第7戦「ヒュースデン・ゾルダー」。日曜日にもUCIワールドカップ第3戦「デンデルモンデ」が控えており、年末に向けてシクロクロスシーズンも最大の盛り上がりを見せていくことになる。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?