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【週刊ユース分析】はっきり言って高体連勢が強くなってきている件。

2022年12月。
来年度の高円宮杯プレミアリーグ参入を懸けたプレーオフが実施され、ユースと高体連(部活)の勢力図に大きな変化が生じています

参入戦の6つのブロックを勝ち抜いたのは全て高体連勢

惜しくもあと1勝が足りなかった帝京(関東2位/東京)、帝京長岡(北信越1位/新潟)、浜松開誠館(東海1位/静岡)らを含めても、プレミアリーグ入りを狙うチームは高体連勢でひしめき合っています。

また、
これまでプレミア昇格初年度の高体連勢は苦戦を強いられる場合が多かったのですが、桐生第一(群馬)をのぞく前橋育英(群馬)、静岡学園(静岡)、履正社(大阪)はユース勢に勝ちまくって好成績を収め

代わりに降格したのが清水ユース、ガンバユース、セレッソU18と長らくプレミアを引っ張って来た名門だったという衝撃。


2種を取り巻く2022年度の結果はいろんな意味で変革期を感じさせるものでしたが・・・
その最たるものが、「はっきり言って高体連勢が強くなってきている件」

これではないでしょうか。
その凄さを紐解くため、もう少しだけ背景を深ぼってみます。



■ユースが強いという暗黙知

そもそも、
僕が高円宮杯プレミアリーグを積極的に取り上げてまとめている背景に
ユースという強いチームがあるのに注目度が低いからもっともっと見ていこうぜ!という裏メッセージがあったことは否めません。

冬の選手権が大きくメディアに取り上げられる中、そこに出ない選択をした選手たち。そして得てしてそっちの方がレベルが高いという現実に何とも言えぬもどかしさを感じていたのです。

そして、
その傾向はもっともっと広がっていくのだろうと予測していました。
実際、日本代表にユース出身選手が年々増えていることがそれ証明しています。


また、
僕が整理している2種年代の「強い順」を数値化した結果でも上位20チーム中15チームがユース勢という結果でした。

しかし
冒頭に述べたように、ここにきてその流れは大きな変化を見せているようです。高体連勢の勢いが俄然強くなっているのです!


これは知る人ぞ知る、今まさに起こっている日本サッカー界の大きな変化と言っては良いのではないでしょうか!!!

一体なぜ流れが変わって来たのか。
これについて、個人的に3つの視点で整理してみようと思います。



■視点①「個性の塊」

これまでたくさんの監督さんのインタビューを目にしてきて、部活の顧問である先生方が口を揃えて言っている言葉があります。

それは「個性」

クラブユースと違い、
進路がどこになるか全くわからない高校サッカーにおいて”次のステージで勝てる選手”に育てるというのは監督の絶対命題と言えるようです。

次のステージで勝つために持たせる武器。それこそが個性。
個性の伸ばし方は短所を補うのではなく、長所をさらに伸ばすこと。故に高校サッカー出身の選手は特に個性が際立っています。

FC東京の松木選手、ジュビロ磐田の古川選手、コンサドーレ札幌の中島選手なんかも良い例ですね。


また、

ツイート的には全く伸びませんでしたが(汗)、これってなかなか興味深い真実を突いていると思うんですよね。

世界で戦うFWは結局いつも高体連勢が選ばれるという事実。つまり部活で拘る「個性」に、Jリーグも、代表も、その先にある世界も大いに意識し始めている。

そういうのが背景にあるのではないかと。



■視点②「プロへのルート」

露出の少ないクラブユース勢の大きなメリットはズバリ、プロになりやすいということだと思います。


実際にそれは今でもあるだろうし確率的にも確かに高いのかもしれません。
しかし、そんな常識の潮目を変えたのが2017年のコチラの記事ではなかったかと記憶しています。

稲本選手、宇佐美選手ら素晴らしい選手を輩出しまくっているガンバが積極的に高体連勢を獲得し始めたのです。


そしてそれに呼応するかのように、

マリノスが興國の選手を獲りまくっているのは記憶に新しいところ。
興國と言えば間違いなく強豪なのですが、激戦区大阪において全国大会出場を逃しているのが実態。

つまり、たとえ全国に行けなくてもプロには行ける。
前に述べた「個性」と、(興國の場合は)圧倒的な「自律」を重んじることでクラブユース並みの進路先を得ているのです!!

マリノスの場合は入ってからなかなか使ってもらえないという実態があるのですが・・・それはまた別の機会で突っ込むとして、

こんな事実もあります。

2021年にプロになった選手を累計してみたところ、クラブユース出身と高体連出身ってほぼ互角だったんですよ。
また、入団先まで調べてみたところ・・・

どのカテゴリーのチームに入団したかというのも気になりますので、(2021年シーズンの)J1チームへの加入を3点、J2チームを2点、J3チームを1点として計算してみましたら、

クラブユース出身 32人 78点
高体連(部活)出身 35人 75点

と、ほぼ同じという結果になりました。

見事なまでに差が無い(汗)。

つまり、クラブユース=プロになりやすいという通説は少し違ってきているというのが実態。

これはクラブユース経由でプロになりにくくなったというよりは、高体連卒でもプロになれる可能性が増えたと言った方が正しそうです。

そしてそして極めつけは、コレ。



■視点③「極め付けの選手権」

(ユース目線でいけば)悲しいかな実態として、露出の多い冬の選手権は魅力ですよ。間違いなく。

全国トップレベルでスポーツをしてきた人たちって見られてなんぼの性格が基本的に備わっているのだと思います。要は目立ちたがり屋。
選手権を目指せるというのは間違いなく大きなステータスでしょう。


クラブユースには充実した施設や世界遠征、トップチームとの合同練習、2種登録の可能性など、書ききれていない特権がたくさんあると思うのですが・・・それを超越してしまうのが「露出」

それだけテレビや雑誌に取り上げられることって特別なんですよね。特に若い選手にとって。

競技は違いますが青学の駅伝部が積極的に露出を増やしてチーム力を上げていったというのは正しいやり方だと思うのです。
アマチュアだってそりゃ目立ったら嬉しいですよ。いやアマチュアだからこそ嬉しいのかもしれません。


僕はかつてこんな記事を書いたのですが、
高校サッカー選手権を仕切る日本テレビと、ユース選手権を仕切るJFAのコンテンツを扱う能力は雲泥の差です(泣)。

普通にやってたら次の100年もクラブユースは露出の面で追いつけないでしょう。


そもそも競い合っている場合か?というのはあるのですが、日テレがこの優良コンテンツを手放すことは当面ないと思いますので・・・高体連のステータス維持および強化はさらに進むのかもしれませんね。



■最後に

はっきり言って高体連が強くなってきている、と銘打って2種サッカーの流れを整理してみたわけですけども、
同じように感じている方々ってたくさんいるのではないでしょうか。


これが良いとか悪いとかそういうものは無いのですが、ちょっと前まで思っていたこと(ユースがどんどん台頭していくという予測)がズレ始めているという事実を認識して高円宮杯プレミアリーグを観るとより一層楽しみが増えるかもしれません。

例えば、
ガンバのジュニアユースから敢えて静岡学園に進学した高橋隆大選手
同じくガンバのジュニアユースから敢えて履正社に進学した名願斗哉選手
そしてガンバユースの絶対的エースとして君臨した南野遥海選手
彼らがどんな理由で進路を決断し、それぞれの道で何を見つけ、違うチームとして戦っているのか。

背景に色を付けて見てみると高円宮杯プレミアリーグもまた非常に面白いものになってきますね。


何気ない写真も、背景を知ればシビれる1枚に。





今後、高校サッカーがどんな風に進化し日本サッカーを変えるのか。
引き続き注目していきたいと思います!

本日も、最後までお読みいただきありがとうございました!

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