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【エッセイ】取材してますます好きになった温泉

温泉が大好きで、日帰り入浴にちょくちょく足を運んでいる。
中でも自分の中での「推し」が、家から車で片道1時間の青根温泉だ。蔵王山近辺にある、山あいの温泉地だ。

あまりに好きすぎて、記事を書いてしまったほど…



記事を書きたいと思ったのは、温泉はもちろんのこと、出会った地元の人に魅力を感じたからだった。

青根洋館を初めて訪れたときのこと。
ドアを開けると、中から係の女性が出てきて「こんにちわ!どうぞお入りください!」と笑顔で迎え入れてくれた。

洋館は観光案内所と喫茶コーナーがあり、地域の団体が町の指定管理者となっている。どうやら地元の人のようだ。

彼女の笑顔に惹かれるようにして、中に入った。

青根温泉は、標高500m以上のところにある。その日は、雲ひとつない晴天!窓から景色を眺めていた。

すると「今日は天気がいいから、仙台や太平洋が見えますよ」と彼女が声をかけてくれた。
そして、仙台港がある場所の目印などを教えてくれた。
漠然と見ているだけだったらわからなかったが、確かに遠目に海の青さがわかる。

「あんなに遠くまで見えるんですね!いい眺め!」と驚きの混じった声が出てしまった。
「今日は空気が澄んでいるから、遠くまで見えるのよね。青根、いいところでしょ~」という
彼女の言葉に、地元への愛情を感じた。そしてハッとした。

いつも他の県の人に「仙台っていいところだね~」と褒められてもつい、「田舎で何もなくて~」なんて言葉が出てしまう。

誉められて嬉しいものの、何となく気恥ずかしいのだ。
また、逆に自分が他の人の地元を褒めたときに、「何もない田舎ですから…」という言葉を聞いたことも多かった。

けれど謙遜よりも、「いいところでしょ」と明るく言われるほうが、訪れた人も気持ちいいし、もっとその土地を知りたいと思うものかも…と思ったのだ。。

何となく話の流れで、以前から青根温泉の公衆浴場が好きで、ちょくちょく来ていたことを話した。

すると、喜ばれて、休業日以外は21時30分の営業後に毎回、地域の人たちが4人態勢で浴室や更衣室を掃除し、お湯を入れ替えていると、聞いた。

そして「たまに帰りが11時過ぎちゃうんだけどね」と笑う。

そっか…道理でいつ行っても清潔なんだ…。お風呂場はヌルヌルしないし、更衣室も髪の毛ひとつ落ちていない。

それは地域の人たちが、日々積み重ねてきたからだったんだ…

住民たちが温泉を大切に守っているエピソードを聞き、ますます青根温泉が好きになった。


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