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【本】京都の老舗純喫茶への憧れが募る本

こんばんわ。本好きな週末ライター、すずき・ちえ です。

今回は、魅力的な京都の純喫茶30店が紹介されている『純喫茶とあまいもの  京都編』をご紹介いたします。

純喫茶との出会い

みなさんは、外でお茶したくなった時、どのようなお店に行かれますか?私は、カフェに行くことが多かったのですが、母に地元の昔からあるレトロな喫茶店に連れていかれたのがきっかけで、純喫茶にも行くようになりました。サイフォンで入れたコーヒー、心落ち着く空間、ゆったりと過ごせる雰囲気に居心地の良さを感じたのです。

以来「純喫茶」という言葉に反応するようになり、出会ったのがこちらの本でした。

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この本と出合ったのは、京都在住のライター江角悠子さんのブログ記事でした。まず表紙の写真を見て「ずっと眺めていたい…」という思いでいっぱいになり、取材の裏側を書いた文章で興味を惹かれました。(江角さんは編集を担当されています)

京都から離れたところで暮らす私。地元デパートの京都展で「イノダコーヒー」を飲んだことはあるものの、京都の純喫茶には一度も行ったことがありません。けど「京都には素敵な純喫茶がたくさんある」と聞いたことがあり、どんなお店があるのか知りたいと思い、本を手に取りました。

ずっと眺めていたくなる本

カラフルな5色のゼリーがグラスに入った「ゼリーポンチ」、鮮やかな緑色のソーダと白いアイスの色合いが懐かしい「クリームソーダ」、コーヒーに美しい薔薇の形の生クリームが載ったウインナーコーヒーのようにずっと眺めていたくなるもの、正方形のバターが載ったシンプルなホットケーキ、厚切りのパンを使ったトーストなど喫茶店に言ったら思わず食べたくなるもの…写真を眺めているだけで、気持ちが満たされてきます。

素敵なのは、食べ物や飲み物だけではありません。「バーカウンター」「照明」「マッチ」などカテゴリー別に、数店ずつ並べて掲載しているコーナーがあり、それぞれのお店の個性が感じられます。

店内の芸術作品にスポットを当てたコラムでは、ステンドグラスや著名な画家の絵画など思わず、実際に行き見てみたくなります。

純喫茶の名店30店、それぞれに歴史あり

この本で特に印象に残ったのは、それぞれのお店のエピソードでした。「高倉健さんが愛したお店」「常連さんのリクエストに応えているうちにメニューが増えた」「仕事で、お店のガスメーター検針を担当したのが縁で引き継ぐことになった」…中には、「俳優・高倉健さんが愛したお店で、今でも健さんのファンが訪れる」という「さすがは京都」と思わせるお話も。

そして、どのお店も先代から伝わってきたものを大切にする姿勢が伝わってきました。先代が体調を崩し会社員を続けながら、休みの日に営業を続ける3代目、すでに完成している店の空気感を大切に守っていこうとする4代目など、老舗を守っていくことの尊さを感じました。

コロナが終息して再び自由に旅行できるようになったら、この本に載っているお店に実際に足を運んでみたい、と思わずにいられなくなります。魅力的なお店が多くて迷いそうですね…