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【エッセイ】ご先祖様への「出前」~岩手県のお盆の思い出

昨年の今ごろ、Twitterで懐かしい画像が流れてきた。
発信者は うがいし手洗いするおいでよ岩手さん。

岩手全域を発信しているアカウントで、それは昔ながらの風習にもおよぶ。

私は岩手と縁があり(母の実家が岩手、生まれたのも岩手、小・中学生の頃に夏休みや冬休みを過ごしたのも岩手)、ツイートの画像を見ると懐かしさを感じることがある。

その時見かけたのはこちら。
すぐさま「イイネ」ボタンを押した。

うがいし手洗いするおいでよ岩手さんTwitterより

目にしたとたん、「これ、おばあちゃんと作ったよ!」と懐かしくなった。

祖母の家のあった地域では、8月13日にお墓参りをする。そのため、数日前からお墓に供えるものを準備する。

「みずのこ定食」もその一つ。ハスの葉っぱの上に煮物やお米を乗せて包んだものだ。

お盆が近くなると祖母と一緒に、家の近くの商店にハスの葉や、煮物の材料を買いに行く。スーパーも近くにあったけど、買いに行くのは近所のおばちゃんが一人でやっているこじんまりとしたお店だった。

「あら~、お孫さん来てたの~?」「そうなの。夏休みずっとこっちにいるんだよ」などと、店のおばちゃんと祖母が話ながら、買い物していたのを思い出す。

おいでよ岩手さんのツイート。今年も懐かしい画像をあげてくれた!

そして、お墓参りの前日には煮物を作る。
Twitterであがっていた写真そのものなのだが、シイタケ、里芋、人参、大根、コンニャク、油揚げ、昆布、麩を砂糖、醤油、料理酒、みりんで煮たものだ。

お盆だからか、肉は使っていない。だが、シイタケと昆布から出る出汁と、油揚げや麩の油が美味しい。
さらに一晩寝かすと味がしっかりと染みる。お墓参りで持って行く時が一番の食べ頃かも。

お墓参りに行く前に、ハスの葉に煮物と生米を包む。親戚のお墓にも供えるので、数は10個くらいになったが、その場にいるメンバー(叔母や母、従姉妹)でやるので、すぐに終わる。

「ご先祖様専用の出前」みずのこ定食が出来上がると、お線香、花、お菓子も持ちお墓参りに行く。

そして、夕食に煮物の残りと心太(ところてん)、すまし汁を食べるというのが習慣だった。

Twitterを見て、懐かしい思い出がよみがえってきた。今でも受けつがれていることを嬉しく思うと同時に、今年は家族の体調不良でお墓参りに行けないことに後ろめたさを感じている。

お彼岸にはお墓参りに行けるといいなと思っている。