見出し画像

駅弁の女王

じょうおうではない。じょおうである。いやらしい方ではない。小林しのぶさんでもない(そう言われてるが、こちらもいやらしい方ではない)。駅弁と言ってそちらを想像しているようでは精神状態は不健全である、いやある意味健全なのかもしれないが。

とにかく駅で売ってる弁当である。駅弁。ちょっとしたブームは全盛なのが去ったのか。一時期ほどではないにしろ、東京駅の駅弁屋などではいまだになかなかの盛況ぶりをみせている駅弁。

様々な駅弁が誕生し、また消えて行っている。その中で定番として残り続けるというのは、たいしたものである。残っているのがたいしたものばかりと言えば、そうでない気もする。名前を挙げないほうがいいのでしないが、そういうのも結構あると思う。

私が絶対に選ばないのは、加熱式の駅弁である。紐を引っ張ると温かくなるアレである。なぜ選ばないのか?加熱のシステムにかかるコストが駅弁の価格に乗せられてる、あるいはそのために中身がボロくなっているというのが一つ。も一つは、そもそも駅弁は冷めた状態で旨いのが本物、という理念である(うるせぇな)。

女王に話を戻す。一番うまい駅弁、これを駅弁の女王と呼ぶことにする。今決めた。一番うまい駅弁の女王は誰か?ではなく、何か?悩ましい問題である。私の中では、先ずは三島/沼津駅の「港あじ鮨」(1080円)を挙げたい。添えられた生わさびを自分でを擦っていただく3種のアジのお寿司はアサヒスーパードライに世界一合うアテである。

これもJR東海ブランドになるが、「品川貝づくし」(1150円)もいい。茶飯の上にハマグリ、アサリ、しじみ、貝柱、焼きホタテと五種類の貝が「めしが見えぬほど」びっしりとのったそれ、実に豪快にして贅沢。これを掻っ込むと、幸せな気分に浸れる。

だが女王は一人、いやさ、ひとつしかない。「厚岸かきめし弁当」(1180円)である。元々は北海道は厚岸でのみ売られていたが、そのノウハウを受け継ぎ、今や大量生産され、至る所で手にすることができる。そうなっても、旨さは変わっていない、はず。北海道で食べたことはないのだ。それでも旨いのだ。圧倒的に。

カキ汁で炊いたという茶色のメシだけで旨い。その上にはカキ煮4個にフキやシイタケやアサリ、たくあんと福神漬けが添えられる。たった4っつのカキ煮だから、メシとの配分を計算し、慎重に食べ進める。濃厚な味わいのカキ煮最高。他の具材も味は沁みていて、これまたおかずとして十分にいけるものとなっている。最近はカキが厚岸産ではないとか、味が昔ほど濃くないとか言われているようだが、そんなことは私にはどうでもいい。旨ければ、どうでもいい。

女王様は、絶対なのだ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?