トイレットペーパーの芯
トイレットペーパーの芯を替えたくない。
飲み屋で聞こえてきた言葉に思わず耳をそばだててしまった。
片耳で聞いたところによると、後ろのテーブルの彼らはトイレットペーパーの芯を新しいものに交換するのが嫌すぎて、どんなに残り少なかろうとそのわずかなペーパーで頑張るのだそうだ。
完全になくなると次の人がかわいそうだから、できればお気持ち程度には残しておく。なくなっちゃったらしょうがない、その時は交換しないで去る。
まあたしかに、気持ちはわかる。
めんどくさいもん。
どうせたぶん次の人が替えてくれるし。
やらなくて済むのならやりたくない。
その一方で、トイレットペーパーを替えたくない人だらけの世界はどうなってしまうのだろうと、すこし怖くもなった。
みんながトイレットペーパーの芯を替えるのを厭わないくらいの心の余裕を持っていれば、みんながもう少し生きやすくなる、かもしれない。
いやそれで終わり??そのためにどうすればいいのかを考えてくれよってツッコミが入りそうだ。
全くもってその通りである。
これはひとつのきっかけの記録にすぎないけれど、こういうたねのようなものを忘れずにおくこともまた大切なのではないかと信じて、そしてこれを読んだ誰かがふと思い出してトイレットペーパーの芯を交換してくれることをほんの少しだけ期待して、今日もぽちぽちとしたためている。
最後になりましたが、おにいさんおねえさん、盗み聞きをしてごめんなさい。
次の人のためにちょこっとでもペーパーを残しておきたいあなたたちの優しさが好きです。
焼き鳥はわたしもねぎまが好きです。
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