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君と枕

寝ぼけ眼で目覚めると、陽に照らされた君がいた。
ワンルームを支配するセミダブル。
僕の枕に君の香りがこびりつく。
梅雨入り前、最後の晴れ間だった。

君とこうして出会うたび、僕はなぜ思春期時代の母を思い出すのだろう。
君が寝返りを打つと二、三年前に流行った香水の香りが広がった。

ごぉぉっと外からヘリコプターの飛ぶ音が聞こえた。
外に目をやると、向かいの家の屋根から黒猫がこちらを覗いていた。

今日は枕を干そう。

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