![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/80005239/rectangle_large_type_2_eb6de137f732b9cee5a6b1a4638ae509.png?width=1200)
ストーカー
「カラフルでオーバーサイズの服ばかりを好んでいたのに、今じゃ白のインナーに灰色のアウターを着てる。なんか、かた苦しいわね。」
君は僕に向かってそう言った。
言われてみれば、窮屈だ。
しかし、今の自分にはこの格好が相応しい。
だが、どうだろうか。今の彼女は全身真っ黒で僕より地味だった。
そう見えた気がした。
「私はもっと長い時間、あなたの世界に寄り添えると思ってたわ。」
天を仰ぎながら飄々とした声色で彼女はそう言った。
その表情を読み取ることはできなかった。
「あなたと別れたとき、もうあなたには会うことはないと私からあなたの元を離れたのに、今こうしてあなたの元へ足繫く通っている、不思議ね。でもそうするしかなかったの。」
「君はまだ僕のことを…。」なんて言葉が浮かんだが、発することはなかった。
できない気がした。
彼女は僕の目の前で煙を出した。
彼女は喫煙者だったのか。
僕はそれをどう確認すればよいのか分からなかった。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?