降霊会に参加してきた
既にこのnoteでもお話している通り、昔からミステリアスなものやオカルトなものが大好きである。
実在の有無はどうでもよくて、ほんとにあると仮定したら楽しくない?というスタンスだ。
インチキ祈祷師とかは全く信じてないけど。
昔、知り合いになった不思議ちゃんな女の子から"降霊会"なるものに誘われたことがある。
ギャラリーカフェのような場所を借りて行われる、割とカジュアルなイベントのようだった。
フライヤーもあったし、そういうコンテンツに興味がある人なら誰でも歓迎という、降霊会という言葉の印象よりは敷居の低そうな催しだ。
会場にはゴシック/ダークファッションに身を包んだ人が多く見受けられ、
テクノミュージックが流れる中、ハンドメイド作家による魔術雑貨の物販などもあった。
サロンみたいな感じだね。
暗黒系のパフォーマーによるショータイムなどを挟み、深夜2時ごろ、すなわち丑三つ刻に行われる本日の目玉、メインイベントが降霊会だ。
よほどでない限り出会う機会のないであろうこの行事、無論自分も参加したことなどなかったから、どんなことが行われるのか非常にワクワクしていた。
ついに来たる会の始まり。
30〜40名ほどの参加者は、全員輪になるよう指示され、会場に一つの大きな団円ができた。
尚、このイベントの主催やスタッフは現役の霊能者、占い師たちであり、
彼らの進行のもと儀式が執り行われた。
霊を降ろすってどうやるんだろう…?
姿が見えるのかな…?
"誰"を降ろすんだ…?
さまざまな疑問が駆け巡る中、進行役が引き続き指示を出す。
「両隣の人と手をつないで目を閉じてください」
「今から言う呪文を復唱してください」
「円の真ん中に人が降り立つ様子をイメージしてください」
そんな指示が続き、しばし沈黙が訪れた、
その時だった。
バタっ。
誰かが倒れる音がした。
驚いて一斉に皆が目を開ける。
倒れていたのは、円の一端にいた、イベント出演者のドラァグクイーンだった。
すぐさま主導の霊能者がその人の元へ駆け寄る。
ドラァグクイーンはうずくまり、か細い裏声ですすり泣くような声をあげていた。
「うぅ……ぅ……………」
「あなた、あなたは誰?歳はいくつ?」
霊能者が尋ねる。
「わ…わたし……?
……………………ヨシコ(仮名)。14歳。」(裏声)
………………
………………
………………
………………
えっ?
なにこの茶番???
誰がどう見ても、それはドラァグクイーンの大根芝居だった。
その後も霊能者は、ヨシコちゃんに生きていた年代や死亡理由、この世への未練などを訊いていたが、
その間の会場の空気は完全に白けきっていた。
それはもう恐ろしいほどに。
そう、イベントよりも恐ろしいほどに。
(あぁ、今してるこの会話も事前に打ち合わせしたんだろうな…)
自分の心の声は、来乗客全員の心の声だったに違いない。
事実、団円の中で、「うわぁー!ほんとに降りてきちゃったんだ!すごーい!」みたいな顔をした人は1人もいなかった。
オカルト好きな人はそこらの人間より素直に信じてしまいそうなものだが、そんな彼らですら一斉に失笑しているのだ。
いかに猿芝居だったかお分かりいただけるだろう。
ただ、会の雰囲気自体は神妙だったので、皆口には出さない。
沈黙が見守る中、ただ役者2人だけが世界に入り込んでいた。
最後に霊能者がヨシコちゃんをあの世へ返すパートをやって会は終焉に向かったが、
とても拍子抜けしてしまった。
その後も、目覚めたドラァグクイーンと霊能者が
「あれ?私いま、何を…」
「降霊会、もう終わったよ。」
「え、終わったってどういうこと?何も記憶がないんだけど…」
みたいな寸劇を続けていたが、興味を失った参加者たちは次々に団円を崩して離れていった。
降霊会っていうからあの世の存在が見れると思ったのに!
ドラァグクイーンと霊能者の下手な芝居を見せられて終わったよートホホ!
怪奇現象の一つぐらい起こしてくれよ!!
と、霊に八つ当たりしても仕方ないので、この話はここまでとする。
もし、もしも本当に、本物の降霊会があるのだとすれば、興味本位ではあるが見てみたいと思う自分がいる。
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