水中の匂い
魚にも嗅覚があるのかなと思い立って調べてみたら、
あるみたいだった。
ということは水中にも匂いがあるということで、不思議な感じがする。
水の中がどういう匂いなのか
興味はあるものの、
何かしらの道具を使わないと人間は
地上でしか呼吸ができないから
水中の匂いは嗅ぎたくても難しい。
海へ出かけたりすると潮の匂いを感じるけど、
海の中を潜って感じる匂いは
やっぱりあれとは違うのだろうか。
そもそもの話、匂いを言葉にするのは難しい気がする。
○○みたいな匂いとか、
酸っぱいとか甘いとか、
単純な言葉でしか表せない。
読書レベルが低いせいか、
小説を読んでいても匂いだけはあんまり再現できない。
だから、防水性のタイプライターを作って海に落として、
魚界のシェイクスピアがご自慢のヒレで
名作をつくりあげたとしても、
それを読むぼくには、水中の匂いや、
深海の匂いはわからない気がしてならない。
タイプライターじゃなくて
パソコンの方がいいかもしれない。
シェイク君に戯曲や小説を書かせたところで、
タイプライターだと取りにいくダイバーの人を雇うお金がいるし、
プリントされた紙がワカメに絡まる危険性がある。
すごく強いwfiを海に向かって飛ばしたら
ネットも繋がるだろうし、
シェイク君と交流することもできるだろう。
いまのうちに質問内容を考えておいたほうがいいのかもしれない。
いつかネット上で匂いがアップロードできるようになったら、
シェイク君にアップしてもらえばいい。完璧だ。
でも、シェイク君をどうやって発見すればいいのだろう。
文才のある魚の一匹や二匹はいるだろうけど、
それを探すためにパソコンを海に落としていたら、
ぼくのお金がなくなってしまう。
海は繋がっているとはいえ、
地中海くらいまで行ったら言語も違ってくるだろう。
ヒレのサイズに合わせたキーボードも
開発しなくてはいけない。
前途多難だ。諦めよ。
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