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【雑記】ワレワレのモロモロワークショップの感想(後半)

先日、演技経験者以外の会社員でも参加できるようになった、ワレワレのモロモロワークショップに参加してきました。

先週投稿した前半の続きの感想です。
これ、感想なのか、、、?

とにかく、気になったことを全部書き残したい自分の記録です。
参加から、1ヶ月以上経っているからか、書きながら、色々な流れを忘れているなと思いました。

記録してないと忘れる。
忘れていることが何かも、忘れる。


前回の続き】
楽しみにしていたワークショップ ワレワレのモロモロに参加した野崎。
このワークショップでは、自分の身に合った、ひっでーことを共有し、参加者とともに演劇にしていくぞ。
ただ、俳優経験ありの他の参加者さんの中、野崎は勝手に萎縮したり、感動したりと、大忙しだ。

他の参加者さんが話している途中にも関わらず、野崎が自身に起きたひっでー話を始めるぞ。

第三章 野崎、モロモロを話す 

 野崎です。 

 今はほとんど症状ないんですけど、私、小学校高学年生から中学生まで寒冷蕁麻疹と言うアレルギーがありました。

 これ、体内の寒暖差が原因で身体中に蕁麻疹が出るんです。 

 あんなに辛かった割に、きちんとアレルギー症状が出る細かい仕組みはわかっていないんですけど、とにかくちょっと体内の温度差で、身体中の脂肪細胞が刺激されるらしく、顔からつま先まで隙間なく蕁麻疹が出ます。

 特に辛かったのは、中学校の冬の体育の授業でやる、持久走でした。

 さむーい環境で走って、私の体温はぐんぐん上がって、身体中に蕁麻疹が出て、痒くなる。これが大体の流れでした。

 蕁麻疹は皮膚の柔らかいところに出るので、お腹とか太ももは、蕁麻疹で埋め尽くされます。本当、すごくかゆいです。

 意外と最悪なのが、指の上です。
 あそこ、掻きがいのない面積じゃないですか。
 だから、もう辛くて。タオルに指の腫れたところ、擦ったりして掻いてました。

 あと、外から見て、パンチがあるのは顔です。
 顔の中で皮膚の柔らかい、唇、ほっぺた、瞼の上とかがすごいパンパンになります。
 この時の私は、ほぼ朝青龍でした。本当です。

 大体、持久走で走って、症状出て、保健室行って、冷やして、クラス戻るんですけど、終わった後にクラス戻ることが嫌でした。

 まあ保健室なんか行っても何もできることないんですよね。
 でも、冷やしたりとか、ムヒとか、あるじゃないですか。そういう処置をしてもらってました。
 

 いや。本当は、全然、保健室にいく必要なんてなかったです。

 ただ、自分の顔が腫れたりした状態で、クラスにいるのが本当に嫌だったので、一時的に逃げたいって言うのはありました。

 なんか、熱が出る!とか、歩けないほど足が腫れる!とか、そう言う症状であれよ!!!って毎回思ってました。 

 皮膚の表面だけ腫れて、私の気持ちだけ辛くさせて、それ以外は元気なんかい!!って苛立ちは結構ありました。

 で、ある程度、腫れが治ったら、教室に戻るんです。
 ただ、その教室内の空気が、私に対する無意識の意識でパンパンになってて、緊張があるんですよ。ある。ある気がするんです。

 なんか、「気にしないぞー」って思っている人が発する独特な緊張感ってあるじゃないですか。それです、それが教室内にパンパンなんですよ。


 これが、私が、今も、人に気を回しすぎちゃう性格に影響を与えている気がして。
 周りの人が何考えているか、何を思っているか、空気以上に反応を気にしちゃうんです。

 この性格って、アレルギーの時の体験が影響しているのでは、と。

第四章 野崎、中学生になる

 と、こんな感じで自分の話をした。

 実際には、合間合間で、参加者の皆さんがリアクションをくれたり、ワークショップの主催者である岩井秀人さんが追加質問したりで、状況と感情を共有しながら、話を聞いてもらった。

 なんかこれだけでもちょっとスッキリしたな。
 話している間は、状況を思い出すことでいっぱいになるせいか、少し、自分の気持ちと距離ができた気がした。

 一通り聞いたところで、岩井さんが
「じゃあ、ちょっと一通りをやってみますか」
と言った。

 「何ですっけ?体育の授業?」
 「持久走?どのくらい走りますか、距離は?」
 「流れはどうでしたっけ?授業、走る、腫れる、保健室」
 と言う、岩井さんからの簡単な質問で、一連の流れを確認され、体育の授業中に蕁麻疹の症状が出てから、保健室に行き、症状が治って教室に戻るまでをやることになった。

 一回目と二回目は、話をした私自身が、本人の役をやる。
 クラスの友人たち役、体育の先生役、保健室の先生役とそれぞれ、参加者に役が割り当てられている。

 「じゃあ、体育の授業ってことで、走ってくださーい!」
 演出は岩井さんがつけてくれるので、やることの流れを指示してくれる。

 その岩井さんの一言で、フロア内を校庭に見立てて、ぐるりと走る中学生たち(を演じる大人)。

 「はーい!じゃあ野崎さんが、朝青龍ぐらいピチピチになります!!」
 と演出の岩井さんに言われたことを合図に、ピチピチ朝青龍役の私は、体育の授業の輪から外れた。
 そして、体育の先生役の人に、「症状出てしまったので、保健室行っていいですか」と聞いて、保健室ゾーンに向かった。

 保健室役の人は想像で、手当をしてくれる。

 「あー今日も蕁麻疹出ちゃったかー」
 
 「嫌だよねーよくなるといいねー」

 と言われて、何だか泣きそうだ。


 現実と違うのは、このすぐ後ろで、教室の様子を演じている参加者のやり取りが聞こえると言うことだ。

 現実は、自分自身がその場にいないと、他の人の会話を聞くことができない。
 だから、想像力が発揮されるのか、私はいつも想像力で補完しがちだ。

 私が急な体調不良で会社を休んだ時の上司は何を考えているだろう。

 直前に行くことをやめる連絡をした歯医者に、私はどう思われているだろう。


 この時もそうだった。
 保健室に肉体はありながら、私の心は、教室内の生徒役の参加者さんたちそれぞれの背後にビタ付きしていた。ちょこっと貞子気分である。

 自分の肩に力が入っているのは、保健室役の先生に優しくされて、泣きそうなのを堪えているからだけではなかった。

 「野崎さん、大丈夫かね?」
 「腫れてたねー」
 「辛そうだよね」

 と話す、生徒役の皆さん。


 あれ。思っていたのと違う反応なんだな。

 「はい!じゃあ、野崎さん、保健室から、教室に戻ってみましょう。
 この時、教室内は他の授業ですかね?」

 と、ハキハキと演出をつける岩井さんの声で、私の貞子気分が抜ける。
 そうか、ワークショップ中だった。

 「あ、はいそうでーす」と弱々しく答える私に、「じゃあ、教室戻りますかー」と岩井さんの指示がくる。

 教室に戻る私。教室は他の授業中で、自然と入室するのは、全員の背中側にある引き戸からだった。 

 入って少しすると、生徒役の方が「大丈夫?」「治ってよかったー」と声をかけてくれたけど、私は、「はいっ」「大丈夫です」と小さく返事をした。


 ここまでで流れを全員がわかると、本人役を入れ替えて、もう一度同じ流れをやる。
 私の役は、男性の参加者さんがやってくれた。
 その時、私は他の同級生役を演じる。

 他者が自分を演じてくれると言うのは、すごく妙だ。
 一流芸能人にもなって、一流ものまね芸人に真似されるという二重の可能性をクリアしないと、ほとんどの人が遭遇することはないだろう。
 貴重な経験だ。

 その貴重な機会をゲットした私がみた、他者が演じる野崎(私)は、なんと言うか、とてもよそよそしかった。

 よく、ものまねされた一流芸能人が、自分をものまねしている芸人さんに対して怒ることがあると思うが、自分で気づいていない行動をしていることがあるからだろう。

 その時感じた私の印象も、私自身の認識と全く異なるものだった。
 私は、それなりに元気に、普通に、教室へ戻っていると思っていた。ただ、演じられていたそれは、全て、肩と語尾を固くした、弱々しい中学生だった。

 「へー私ってそんな感じなんだ」と新鮮にみていたとき、

 「て言うか、野崎さんってなんで体育の授業休めないんだろうね?
 症状出ることがわかっているなら、見学とかでいいじゃんね?」
 と同級生Aに話しかけられる。

 そうだ。私は演技中だった。中学生だ。いわば、同級生B役だ。他のことを考えていたこともあって、ほぼ反射的に、

 「でも、授業休んだら、成績とか、評価とか、つけられないじゃないですか。みんな同じことしないとダメだし、難しいんじゃないかな。」

と淀みなく、同級生の女Bになりきった私は言い切った。

 「そうかなあ」と納得できない表情で返す同級生A。

 そんな話をしていたら、野崎が教室に戻ってきた。
 体を必要以上に小さくたたみ、何も悪いことをしていないのに、申し訳なさそうにしている。

 「今日、部活ないのー?野崎さん、演劇部だっけ?何するの?」
 と聞く、同級生A。
 「準備だよ。うん」
 と答える、野崎。
 「そうなんだ。文化祭あるもんね。舞台とかするのー?」 
 と続ける、同級生A。
 「するよ。うん」
 と答える、野崎。

 おい、野崎いいいいいいい
 
心の中で私は、人の優しさを無碍にする自分の態度に苛立っていた。

 どうした野崎。
 機嫌でも悪いのか?
 話せ!聞かれたら、ちゃんと話せよ!!
 何でこのタイミングで部活の聞かれているのかはわかんねえけど、お前に気を遣って、話しかけてくれてんだよう!!

 ただ、紛れもなく、これが他者から見た自分なのだと思えた。


第五章 振り返り

 ここまで、一通りをやって、また開始時と同じ、円形に座って、振り返りをする。 

 私の感想や参加している人の感想を質問されて、話した。

 「野崎さんが教室に戻った時に、同級生A役の方が話しかけてて、グッドでしたね。部活とか聞いてね」というように、岩井さんが参加者の一つ一つのムーブを褒める。

 「や、部活ないなら帰った方がいいよね、と思ったんですよね」
 とさらりと答える、同級生A役を演じてくれていた参加者さん。

 私は驚いてしまった。

 想像もしなかった。現に、冷静に見ているつもりの第三者として参加していた時の私の感情が以下である(数行、上にあるやつ)。

 どうした野崎。
 機嫌でも悪いのか?
 話せ!聞かれたら、ちゃんと話せよ!!
 何でこのタイミングで部活の聞かれているのかはわかんねえけど、お前に気を遣って、話しかけてくれてんだよう!!

 何でかわからないけど、厳しくしていたのは自分だったのかもしれない。
 そんなことに気づけた。

 よく考えれば、友人、恋人、先生、家族、いろいろな人にマイナス思考だなんだと言われていた。

 その度、「知るか!」「それ以外、どう考えろってんだ!」と思っていた。

 そうか、人は思っているより優しいのか。
 元々知っていたけど、それを体感することができた。

 
 ワークショップ自体は、その後もエピソードの共有を何個かして、楽しく終わった。


 人の優しさは見えない。

 これを実感できたことが、ワークショップに参加した時の大きなお土産だった。

 自分で経験を振り返る時に、他の人の解釈が入ることで、自分の目でどんな風に見ているか次第じゃん!と言うポジティブさと、それでも私はこうなってしまう!と言う自分の思考の癖を、理解できた。

 辛い時、どうしても、自分の気持ちばかりに注目してしまう。
 他の人を想像する余裕を身につけたいと思った。

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