花組公演「巡礼の年」
今回のお話。一冊の本を読んだ。そんな感覚に陥りました。色々場面が変わり、いろいろな人の目線が入る。幕が下りた時、裏表紙がパタンと閉じた音が心の中で聞こえました。そんな風に感じました。個人的にはとても面白いお話でした。そして何より歌が、音楽がとてもいい。好きでした。
ジョルジュ・サンド
キラキラピアスのサンド様
指輪たくさんのサンド様
足を組んで座っているサンド様
タバコを持つサンド様
タバコをくわえるサンド様
ポケットに手を入れてるサンド様
壁にもたれかかるサンド様
足を机の上に乗っけてるサンド様
サンド様の大優勝!!
大優勝ポイント!
佇まい!
声!
佇まい
女性!女性というか、サンドという人。まず、重心が違う。足の使い方が違う。立ち方が違う。
声
声のお芝居。そして、歌!サンド様は歌を歌として歌わない。歌に感情を入れる。そして、歌なのに声が変わるんだ。歌の声のお芝居でもあった。
サンドははじめきっとリストとおなじ。でもショパンと出会い、リストに触れて、変わっていった。ひとさんのお芝居ではそんなふうに感じる。でもそれがなにか分からない…あの世界で何を感じ、何を思ったのか、そしてどう変わったのか追求するとする。
喝采を聴かせて
サンド自身の価値観からなる台詞…
彼女が生きた世界、見た世界、感じていたこと全部を知りたくなった。彼女の中にある根本的な意識、考え方、すべてを知りたくなりました。
きっとサンドの価値観には強い自己意思があった。サンドはリストが凄い人だと知っていて、そんなことで名誉が落ちるわけがないと思っていた。彼の音楽を愛し、そんな自分を愛していた。だからこそ、リストが批判されると自分が否定されていると感じていたのではないのか。
リストは凄い=私の感性、考えは間違っていない
その故の「私のため」であったりするのかもしれない。
でも、パリに戻ったリストが浴びた喝采は自分の求めていた喝采とは違うのではないのか。リストの描く世界がまるで変ってしまったのだから……
彼女は何を思い感じたのだろう。
このときの瞬きが忘れられない。たった一回ゆっくりと瞬きをした。彼女のなかで多分何かが変わった瞬間であろう。ひとさんいわくガラガラと崩れ去った瞬間らしい。サンドに対する気持ちの変わり方…それが瞬きで知れたのだ。やっぱりお芝居は凄い。
巡礼するリストからの手紙をマリーが受け取る場面&ショパンに向ける「私のため」の場面
そしてショパンと出会って変わった世界。マリーがリストからもらった手紙をのぞき込もうとするサンド。止めるショパン。この二人の関係を見るにサンドはリストとは吹っ切れているがリストの恋には興味があるのかもしれない。ここではサンドの作家としての人生が垣間見れたような気がする。
革命時代
サンドは全部知っていたよね。革命が起こること、革命の結果、この世の先を…そして自分がどうあるべきかの世界を…
誰かが話すたびにサンドがする瞬きが忘れられない。サンドはゆっくりとじっくり自分の中で考える人なのか??
ショパンがいったサンドのためだけの演奏会
リストには喝采を、ショパンには私だけの演奏会… サンドを通して二人の音楽の価値観を表していたり…となると、二人の史実を文献を探りたくなる。
きっとサンドは二人の音楽を愛していた。
「聴かせて」の台詞にすべてが詰まっている。
そして、サンドのお芝居がとても面白い。やっぱり、ここで大きく変わったのかな。サンドは付き合った人の影響を受けやすい。その人の影響を受けた作品が多い。となると、ショパンによって変わったサンドの心はこの場面が一番大きいのかも。ただ空白時間が大きいため変えてきたのではないかともうかがえる。
ショパンの別れの場面
リストの幼少期語りのなかでショパンは見捨てた小さなリストを見つけているだからこそ最後に連れてきたんだよね。あの場面はリストの幻覚でショパンの幻覚でサンドの幻覚の世界。彼らの願いの先にあるあわいの世界に見えたが、ここは彷徨う魂の集まりとして認識するとしっくりきた。彷徨った彼らの魂は自然と集まる。
この場面では全然変わる。断然女性だよね、なにが変わったのか。完全にショパンに影響をうけたサンド。リストのサンドとショパンのサンドは別人。 ショパンを無くすとき彼女はこちらをみている。そして、その後のセリフ「さよなら………」もこちら側に。サンドはショパンの死に目に会えていないわけだし、亡くなったショパンに対しての声になると……きっと…
さて、サンドから離れお話を追求するとする。
リストについて
リストは自分のことが分からなくなってしまった。リストはマリーが自分を知っていると感じマリーを選んだ。でも、彼は彼自身で閉ざしてしまっていて、それに気づかせたのはショパン。でも、マリーとの出会いがなかったらショパンの声を聞けなかったと思う。
そして、サンドの「あなたの事は知っていたつもりだったけど、分からないこともあるのね。」
サンドは知っていた。リストと近い存在にいた。でも、ともに生きるパートナーにすぎなかったのか。
何のために音楽を
リストが喝采を浴びた時、ショパンとリストの音楽の気持ちは一致した。そのためだけに音楽を、と。こういうとき必ず思う言葉がある。
平行線は交わる。
どれだけ平行でいる線でもその先は必ず交わるのだ。きっとあの瞬間は平行線が交わったときなのだ。
でも、リストはまた道をそれた。何のために音楽を
まだまだ分からないことだらけ、まとめられない。 この感想は未完成だ。ずっとずっと未完成のまま……
それでもいいのではないか。
そう思うからこそこのままおいておく。
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