「優先順位の1番、わかっているか?」と問われて、ハッとした話。
既にある1番を忘れていた気がする。
ううん、最初はそれが出発点だったのに、いつの前にか忘れていた、という方が正しいか。
https://www.1101.com/essay/2023-06-07.html
ライターの仕事の出発点
そもそも、ライターの仕事をしようと思ったのは、在宅でできる仕事をしたかったからだ。
なぜ、在宅か?
学校から帰ってきた子どもに「おかえり」を言ってあげたい。
その日あったことをその日のうちに聞いてあげたい。
そう思ったから。
私は特に鍵っ子だったわけではない、と思う。
はっきりと覚えていないのは、3人兄弟の真ん中で、団地育ちだったため、常に周りに人がいる環境で育ったから。
記憶をさかのぼっても思い出すのは、団地の前の公園で18時のチャイムが鳴るまで友達と鬼ごっこをしていたことや、友達の家でリカちゃん人形で遊んでいたことくらい。そして友人のお母さんが、部屋までおやつを持ってきてくれるという記憶も必ずついてくる。
「部屋までおやつ」の場面を毎回思い出してしまうのは、すごくうらやましかったんだろうなと思う。
うちの母は誰かをもてなすというタイプではなく、誰かが家に遊びにきているという状況に出くわすことがあまりなかった。そんな環境で育ったせいか、私も自分の家に誰かを呼びたいというよりは、誰かの家に遊びに行きたがった。なんとなく居場所を探していたのかもしれない。
うちに帰ったら、お母さんがおやつを作って家で待っていてくれる。
友達を連れておいでと言ってくれる。
過去の自分がやって欲しかったこと。無意識の願望が在宅ワークを選ばせたのかもしれない。
上の息子は「愛情の器」が大きいタイプだとわかっていたので、2人の時間を作る必要性を感じていたことも後押しとなった。
実際やってみて、今はどうか。
当たり前になって気づかないこと
気がつけば、PCの画面に目を向けながらの「おかえり」が増えていた。
「もう帰ってきちゃったの?」と時計の針をチラ見して、内心ため息をつく自分がいた。
息子の話をしっかり聞こうと思って家での仕事を選んだのに。
笑顔で「おかえり」を言うために在宅でできる仕事をしているのに。
いつの間にか当初の目的を忘れていた。
だから「優先順位の1番、わかっているか?」の記事を読んだとき、なんだか頭をガーンと殴られた気がして、ひとり申し訳ない気持ちになった。
息子の存在が当たり前すぎて、
毎日「ただいまー!」と帰ってきてくれることが日常になりすぎて、
忘れていた。優先順位の1番との時間を。
と同時に、優先順位を見直す時なのかもしれないと思った。
今の私の優先順位
私の優先順位の1番は家族。
その事実は変わらない。
だけど、その優先順位の間隔が少しずつ狭まっている気がしている。
家族のことが優先順位のトップではあるけれど、2位以下のことが、1位と僅差に迫ってきている。むしろそうしたいと感じている自分がいた。
今までは、何を差し置いても、子どもが優先順位のトップだった。
寝る時間が削られまくった授乳期、
ご飯作りが生活の中心だった離乳食期、
息子の希望をなんとか汲み取ろうとするイヤイヤ期、
「自分でやりたい」を見守る就学前の時期。
そういった、目も手も心も全て捧げていた時期から、少し段階が変わってきているのは事実だ。
母とじっくり話すよりも、1秒でも早く宿題を終わらせて、おやつを持って友達と遊ぶ方が9歳の息子にとっては優先事項なのだ。
優先順位は変わる。
むしろ、変わってもいい。
家族が優先順位のトップを走り続けることは変わらない。
だけどそのトップへのサポート具合や、どこまで伴走するかは、適宜見直しても良いんだと思う。
「優先順位の1番、わかっているか?」と問われたら、にっこり笑って答えたい。
「もちろん、わかっているよ。”今”の私の1番を選んでる」って。
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