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聴いたよ新譜2022 Vol.3

お世話になっております。

3月は本当世界的にもいろんなことがあってざわざわとしているところではありますね…僕のほうも音楽を聴く以外にも逃避に走るような兆候が感覚としてはありまして、色々考えては目を背けてを繰り返しつつ、料理をしたり美味しいクラフトビールなどを飲んで気を沈める毎日です。

しかし今年は前半から名盤だな~と思ってしまうような作品が多数あって自分でも驚いています。僕は詳しい方々ほど界隈への理解に乏しいですが、それでも一聴してアドレナリンがドバドバと出てしまう名作がいくつもあってこのタイミングで新譜として接することができてうれしい限りです。

では今回も感想とともにご紹介させていただきます。
自分の備忘録として書きつつ、脳みその何パーセントかではどこかの誰かの何かの情報になればと思います。


① The Weather Station - How Is It That I Should Look At The Stars

カナダのフォークロックバンド、The Weather Station。前年素晴らしくドラマチックなアルバム「Ignorance」で大変魅了されたところで今年の本作は、前作と並行して製作されていたある種「不随したストーリー」を持つアルバムでした。

あきらめの先に揺蕩う時間
ドラマのその先の内省的エピローグに
美しすぎて泣きそうになる

トロントのジャズバンドともにほぼ即興演奏で録音したアルバムとのことで、一作通して非常に同一線上の世界観を持った作品でした。全編通して静かで内省的なアルバムですが、前作で歌われていたドラマのその先を感じさせるもの悲しさを纏っていて最高でした…ソングライティングに演奏に本当美しすぎるんですよ。
Youtubeにアルバムのヴィジュアライザーとしてフルで映像があるのでそちらも是非みていただきたいです。ひたすらに過ぎていく時間と世界。その情景が詰まっていると感じました。

② Nilüfer Yanya - PAINLESS

UKソウル界の新星…今回セカンドアルバムらしいですが初見でした。ロンドンのシンガーソングライター Nilüfer Yanya 。

オルタナティヴなコード感とNW的空気感
耳にダイレクトに来るサウンドがたまらない
衝撃が走りました…かっけえ…

まず出音から最高でした。トレモロの聴いたグランジ的ストロークギターでNew Order?なサウンドにつかまれて…けどそれが懐古的すぎずダイレクトに気持ちいいんですよね。そこからも80~90的なエッセンスが豊富で、そこにソウルを軸にしたメロディが入って素晴らしいの一言です。どの楽曲にも毎回「おおおッ」と思わせる試みを感じられて満足度の高い一作でした。僕の大好きなUKエッセンスが詰まりに詰まっている…そしてどこかグランジ、USインディの香りも感じる…たまらん。たまらないですね。

③ caroline - caroline

ロンドンの8人組音楽集団 caroline。Rough Tradeからリリースされた本作がデビューアルバムです。リリースされたのは少し前ですが、今更ながら聴いて衝撃を受けました…素晴らしすぎる。

フォークとエモが合わさったエクスペリメント
抒情的でアーティスティックで美しく
ずっと自分の生活に流れてほしいアルバム

遅ればせながら試聴して驚きました。アパラチアン・フォークを軸にしつつシークエンスをコラージュ的にループしながら空間芸術として作り出される楽曲は、シガーロスやシネマティック・オーケストラを引き合いに出すべきかどうかも迷うところなのですが…とにかく美しくて浸りに浸ってしまいますね。どの楽曲にも日常のぬくもりとどこか無機質な虚無感を感じて、その同居と表現にひたすら酔ってしまいます。僕がもしお店をやるならめちゃくちゃ流しまくりたいアルバムです。ライブ見たい…

④ Letting Up Despite Great Faults - Ⅳ

ロサンゼルスのインディーポップバンド、Letting Up Despete Great Faults。ベッドルームプロジェクトとしてエレクトロ+シューゲイザーを確立したバンドの4作目のアルバムです。

爽快感あるシューゲサウンドが心地よく
シンセとギターで作られる浮遊感
まさに春の朝に聴きたい甘酸っぱいアルバム

前作まで以上に疾走感のある楽曲が多く、スーパーカーのスリーアウトチェンジを聴いたときのような甘酸っぱさを追体験させてくれる。春の晴れた日に自転車で登校するときのなんとも軽い足取りを…楽曲ごとの繊細なバリエーションも素晴らしく、その流れからの6曲目「Gemini」が特に好きですね…Slow DiveのドラマーSimon Scottがマスタリング担当しているというだけあってゴリゴリの王道シューゲイザーの渦。まぶしすぎるくらいですね。

⑤ Keeley Forsyth - Limbs

マンチェスター出身の女優でありシンガーソングライター、キーリーフォーサイスの2ndアルバム。

ゴシックに重い音像
静かに引きずり下ろされるような
白と黒の空間美がありました

気づいたらのめり込むように聴き入ってしまったアルバムです。ミニマルエレクトロな世界観の中に美しい歌声が鳴り響く、描かずとも白と黒の空間から静かに足を引いて落ちていくような感覚。ボルタンスキー作品を鑑賞している時のような心のざわめきを覚えました…このブラックホールのような感覚を是非味わって欲しいです。

⑥ Metoronori - Evenings


日本人のアーティストMetoronoriの新譜はスペインのレーベルGlossy Mistakesからリリース。

これまで以上に良質なエレクトロニカ
煩雑でいて繊細。
散りばめられたテクスチャーに痺れる

ベッドルーム、インディ、アンビエント、ジャズ…エレクトロニカを軸に様々な要素を感じさせてくれる作品。日本の女性エレクトロアーティストともまた1つアンダーグラウンドな試みを感じ、短編映画を観たような満足感をくれる。ところどころに目を引くシークエンスがあり、最後まで楽しんで聴くことができました。

⑦ Sonic Youth - In/Out/In

ソニックユースのレア音源集がリリースされたと聴いて、久しぶりにソニックユースが聴きたかった僕はタイムレスに再生…

2000年代Sonic Youthの
ヴェルベッツにも似たネオダーティなノイズ
何度聴いても最高。今も愛しています

NYC三部作と、それを終えたソニックユースのアメリカンアンダーグラウンドなサウンドは90年代の攻撃的なものとはまた違って僕は大好きなんですよね…。ジムオルーク参加の楽曲もあり、未発表音源~とかにそこまで食いつく方ではない僕なのですがハイエナのようにむさぼり聴いてしまいました…改めてSonic Youth大好きですね。当時「こんなの理解できるか?クラスで俺だけに決まってる・・・うひひ」と聴いていた世間知らずな僕は、今でもSonic Youthの持つアンダーグラウンドの魅力にとりつかれたままなんだなと思い知りました。

⑧ Charlotte Adigéry, Bolis Pupul - Topical Dancer

ベルギーの2人組によるファーストフルアルバム。シニカルな歌詞と80年代のラジカル性を現代に痛快に消化した

傑作…とも言いたくなるくらい刺激的
痛烈な風刺と共に
本能に語りかけるエレクトロファンク

信頼できるフォロワー様のツイートで気になって試聴し、一瞬で心を掴まれました。フランス語と英語の入り混じった歌詞には人種差別やミソジニーへの通例な風刺が込められ、そのグルーヴは本能にビシビシと訴えかけるラジカルなファンクビートとビンテージシンセサウンド…聴けば聴くほど「めっちゃくちゃいいわこれ」となってしまいました…プリンスやトーキングヘッズからの強い影響も端々に表れており、ポップに作られていながら確かな鋭利さを感じさせてくれる…まさに、今聴きたいサウンドでした。

⑨ Oso Oso - sore thumb

ロングビーチ出身のロックバンドがニューアルバムをサプライズリリース!ということで早速聴きました

青春の1ページへの追憶か
剥き出しの作品にこもった
他人事とは思えない作品

レコーディングのデモ製作を共に行なった従兄弟の逝去にあてて、敢えてデモの状態から大きくいじらずに発表した作品。その剥き出しのサウンドになんとも心打たれ、現代のエモやパンクをめっきり聴かなくなってしまった僕も若き春の日に思いを馳せてついつい聴き込んでしまいました。フォーク色を感じさせる楽曲が目立ち、エモやパンクの軸がパワーポップに傾倒すればするほど心に刺さりまくって泣きそうになってしまいましたね…


春の予感がしますね

まだまだ寒かったり暑かったりですが、春に聴きたい音楽を感じ取ってついつい聴いてしまうところがありましたね。春になると学生時代にFountains Of Wayneの「Welcome Interstate Managers」をよく聴いていたタイミングがまさに青春の時期と重なって毎年フラッシュバックします。感染症で2020年に逝去したアダムにRIP…本当に大好きでした。

また素敵な音楽に出会ったら更新します。
おつかれさまでした







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