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緋色の研究 / コナン・ドイル

2021年8月20日 読了

シャーロック・ホームズの作品ってそういえば読んだことがないなぁと思って手に取った。この作品は、ホームズとワトスンが出会う第一作として、ワトスンの視点でホームズの変わり者ぶりと、その超人的な推理が描かれていく。

ホームズのキャラクターはとても個性的で、人並外れた観察眼に驚かされるワトスンだが、読者もワトスンと同じ視点でホームズという変人を目の当たりにできるのが面白い。
推理はやや都合がよく強引なところもあるが、そう思っているうちに読者も他の登場人物も置き去りにしてホームズがあっという間に犯人を逮捕し第一部が終了する。

驚くべきはここからで、第二部からいきなり場面が変わり、語り手も第三者視点となり、この事件の背景となる壮大な過去が語られる。
このエピソードがまた読み応えがあって、モルモン教を題材とした闇深い因縁についてのストーリーテリングがとても上手く、読み入ってしまう。ホームズもワトスンも出てこないこのエピソードが、ページ数的にもこの作品のメインと言えるほどだ。

最後にはまたワトスンの手記に戻り、ワトスンの視点でホームズがどうやって真相にたどり着いたかが明かされるが、エピローグはあっさりとしている。ミステリーとしてのトリック云々よりも、この大胆な構成に驚かされた。
今読んだら古臭さを感じる探偵モノかと思ったが、構成とストーリーテリングの巧みさで、十分面白い作品だった。機会があれば他の作品も読みたいところ。

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