5.自然光は作るもの(ライティングの考え方と、ストロボ光を不自然に見せないための話②)
前回に引き続き、ストロボライティングを「わざとらしい光」に見せないために意識したいポイントを、複数回に渡ってまとめていく。今回は、第二弾。「自然光は作るもの」というお話。
【ヘッダー写真 Model:ぴよさん】
(F1.4 1/125s ISO100)
前回→4.美しい光はだいたい頭上からくる(ライティングの考え方と、ストロボ光を不自然に見せないための話①)
②自然光は作るもの
【カガリ・ユラ・アスハ:星佳さん&アスラン・ザラ:それさん】
(F1.4 1/200s ISO1000)
「自然光が一番綺麗に撮れる」という言葉をよく聞くかと思う。
たしかに、条件が揃えば自然光はカメラマンにとって最強の味方になりえる。太陽の光ほどの強い光はそう簡単に用意できるものではないし、太陽のように周囲一帯を照らすには機材がいくらあっても足りない。
しかし、自然光は「自然」の光である。何かしらの手段で遮ることはできても、カメラマンの意思で方向を変えたり、光源そのものの強さを変えることはできない。
「この方向で撮りたいけど、光の方向が……」というケースや、「今のままでもいい感じだけど、もう少し光がほしい」ということも少なくないのでは。
そこで、オフカメラストロボで光を作る。
室内の場合は窓などから入ってくる自然光を、屋外の場合は太陽の光を、ストロボで表現しようというわけである。
特に室内についての話がメインになるかとは思うが、お役立ていただけると幸いだ。
②-1.一番強い光に「理由」をつける
先に挙げた階段での写真は、このようなライティングで撮影している。
階段の上に何かいるぞ……!?
ソフトボックスくん「やぁ」
階段上からの光を置いたことで、先の写真では、まるで階段の上に、外へと続く扉があって、そこから光が入ってきたように見える。
もちろん、見ていただいてのとおり、階段の上には窓も扉もなく、ただストロボを放り込んだソフトボックスくんが横たわっているだけだ。
画角の外が実際どうであれ、写っていないものについて、見る人は想像するしかない。
だからこそ、先の写真では、メインの光を階段上のソフトボックスにすることで、階段の上から外の光が入ってきているかのように表現できる。
ストロボの光であっても、どこから来た光として想定し、それに合わせて数値を決めたり、他の光を配置することで、メインの光に理由付けができる。メインの光についてカメラマン自身が理屈づけできていなければ、それはただの「ストロボの光」になってしまう。
【ジャンヌ・ダルク:ゆよりさん】
(F2.8 1/200s ISO640)
前回(4.美しい光はだいたい頭上からくる(ライティングの考え方と、ストロボ光を不自然に見せないための話①)の記事で、被写体より上に光源を持ってくるのがよいと書いたのも、上からの光のほうが「理由付け」しやすいためだ。
【Model:さらさん】
(F2.8 1/200s ISO200)
屋外であれば、たとえば木々の間から漏れる光をイメージしたり。
とにかくまずは、自分を納得させられる理由付けができるようにしよう。
②-2.画角内で「光るはずのもの」はできるだけ光っている状態にする
【Model:ぴよさん】
(F1.4 1/125s ISO100)
ヘッダーでも使用したこちらの写真。実はこの写真を撮るとき、すでに日没してしまっていて、部屋の電気もつけていないので、ストロボがなければ真っ暗な状態だった。だが、ストロボを使用したことで、この写真は日中っぽく見える。
では、ストロボはどこにあるのか。
お気づきかと思うが、ストロボは窓の外だ。ちょうどスタジオの窓の外、すぐ横にはしごがついていたので、そのはしごにストロボを固定している。
画角内に写っている「窓」(とレースカーテン)から入ってくる光なので、自然の光に近い形でイメージできる。
【創作エルフ:ユウさん】
(F2.0 1/200s ISO200)
この写真で、エルフさんが手にしているランプも、実はストロボなしでは全く光っていない状態である。
実際は、奥にある椅子の肘掛けの上にストロボを一つ配置し、ランプに重なるよう微調整して撮影しているために、ランプが光って見える。
(ちなみに、全体的に白っぽくなっているのは、レンズの前に薄いレースカーテンを被せているため)
【間桐桜:夜空さん】
(F1.8 1/200s ISO160)
画角内に写っているもので、「これは光源になるはず」と思うものは、光って見えるように工夫してみよう。
自然光は、作れる。
☀<作ったらそれ「自然」じゃないのでは?
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