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写真はスモールスタート

昨夏の購入からもうすぐ1年が経つRICOH GR III。自分と相性がいいのか、毎日のように持ち歩いています。

思うに、わざわざ写真を撮りに行く、という場面の少ない人にGRが良いんじゃないでしょうか。


うちにはまだ小さい子供たちがいるので1人好き勝手に旅することもあまり出来ないし、「この景色をこう撮りたい」みたいなアウトプットから逆算した熱意もない。

撮る写真はほとんど日常生活の延長線上。家にいるときや通勤中、休日の1コマなどで気になったものをフラッと撮れればそれでいい。そこには高速AFも望遠レンズも不要です。

こういう人がいきなり憧れのカメラを持つと決まって想像していたより使えないと気付く。

その違和感が少しずつ積み重なり「あれ?そんなに写真好きじゃなかったのかな...」と誤解しちゃったりします。これはとてももったいない。どんなものであれ、写真に興味をもってわざわざカメラを買う人なんてそう多くありません。あなたは写真が好きなんです。アプローチがうまくいかなっただけで。


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だからカメラはスモールスタートにするのもひとつの手。

この場合のスモールには2つの意味があります。1つはスマホやコンデジなどのサイズ的なスモール。もう1つは金銭的なスモールです。

やっぱり小さい方がたくさん持ち出すし、撮れる。で、撮っていきさえすればわかることがどんどん増えます。撮影後の自分なりのフローが出来てきたり、撮りたい写真が見えてきたり。撮りたい写真が見えることで次に買うべき機材や勉強すべき分野がわかる。

メディアのレビューや写真ブログは絶対的な解ではなく、あくまで参考資料。著者の考えや一般論を書いているにすぎません。それがあなたに合うかはあなたしかわからないんですね。もちろんこのnoteで言ってることも。

あなたが実際にカメラを買い、写真を撮って感じたことがすべてです。


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このトライ&アジャストのサイクルをまわすのに高いカメラは必要ない。自分を知っていくのが先だからまずは気軽に使えるものがいいんです。

そうやって好みがわかると次のカメラ選びの解像度が上がる。高いカメラにしかない機能が必要かもしれないし、逆に最初に買ったカメラでじゅうぶん楽しめちゃうかもしれない。

高いカメラは時にこの判断を曇らせもします。カメラへの愛が自分に合わない部分から目を背けさせるんです。それも含めて楽しめるならいいんですが、僕自身はそううまくはいきませんでした。


まったく逆の主張を昔、音楽雑誌で読んだことがあります。ギタリストのエリック・クラプトンが「最初から良いギターを買った方がいい」ということを語っていました。理由はたしか、モノがあなたの腕を引き上げるから、みたいなことだったと記憶しています。

最初から弾きやすかったり音が良かったりするとモチベーションになって努力も継続しやすいってことなのでしょうね。たしかにそういう考えも納得です。なにより、エリック・クラプトンの言うことです。レジェンドの言葉なら聞いておいて間違いないかもしれない。


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と、こんな話を書いていたら、また反対の話を思い出しました。元プロ野球選手の新庄選手の話です。

新庄氏はプロ入りした1990年に購入したグラブを、補修を重ねながら試合で使い続けたことが知られている。

2020年5月25日 exciteニュース

新庄選手はメジャーリーグでも活躍したスタープレーヤーの1人です。彼が現役時代に使っていたのは、プロ入り1年目に購入した1万円もしないグラブでした。なんとそれを17年に渡り補修しながら使い続けたというんですね。

新庄選手の場合は少年野球からの経験があるので厳密には最初の1つとは言えませんが、道具は使い手との相性次第という意味では良い例ではないでしょうか。

日本人として初めてメジャーの4番に座ったレジェンドのしたことです。こちらも間違っているとは思えない。


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まぁこんな感じでどんな事象にも反対の主張が存在します。賃貸派と持ち家派がいるのと同じです。どちらを選ぶかは結局その人次第。あなたがスモールスタートすべきだったかどうかも結果論でしかありません。

せめて後悔の少ない方法として、こうした主張を吟味したうえで、自分で選ぶということが必要になるんじゃないでしょうか。

人間どうしても好きな人の主張を信じたくなっちゃうし、一度どちらかに傾くとどんどん都合の良い情報ばかりを摂取するようになる。

だから初めは可能な限りフラットに。集めた情報から自分なりの考えを持ってモノを選び、合うポイント合わないポイントを検証して次のステップに進む。これが好みのカメラを手にする方法の1つだと僕は思います。

無論、「このカメラを使ってみたい!」という強い動機(症状)のある人はまずは欲しいのを買ってしまうのも手です。

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