1990年〜2000年ごろのネガが出土した
引越しで荷物の整理をしていたら興味深いモノを見つけた。
写真やネガを入れていた紙ケースで、ご覧の通りなかなかの年代もの。パッケージの写真も観月ありさだし。今フィルム写真をやってない人にはさっぱりだと思うけど、フィルムを現像に出すとこんなケースに入れられてネガやプリントが返ってきたんです。今もそうか。
この写真の持ち主は奥さんで、撮影した時期は彼女の学生時代〜20代のころ(1990年代)。当時はフィルム写真なんて言い方もしなかっただろう。上の観月ありさ以外にも懐かしさや時代を感じるフィルムグッズをいろいろ見つけたので紹介していく。
まずは観月ありさと同じく、ネガと写真の紙ケース。こちらなっちゃんこと、田中麗奈の写真がレイアウトされていた。観月ありさが「ナースのお仕事」なら田中麗奈は映画「がんばっていきまっしょい」。なっちゃんと呼ばれていたのは同名のソフトドリンクのCMに出ていたから。
wikiによるとなっちゃんのCMとがんばっていきまっしょいは共に1998年公開だから、この紙ケースが使われていたのもそのあたりなのかな。たしかこの時期はフィルム需要のピークでもあったと聞いたことがある。その後、2004年あたりからデジカメが一般に普及してフィルムは一気に衰退。当然フィルムカメラも捨て値となり、CONTAXやライカもかなり安く売られていたという。昔から写真をやってる人からは「あのときにフィルムカメラを捨てた」とか「あそこでT2を買っていれば...!」なんて嘆きも聞く。
話は田中麗奈に戻るけど、この2000年前後、僕は高校生で、ハロー!プロジェクトのファンクラブに入っていた。モーニング娘。が好きだったから(特に石川梨華と吉澤ひとみ)。彼女たちのライブ直前の掛け声がまさにこの「がんばっていきまっしょい!」だった。掛け声のきっかけがこの映画からだったかどうか、何かの番組で話してたような気もするけど忘れてしまった。でも時代関係を考えたら映画きっかけの可能性も高そう。Youtubeを見たら今でもモーニング娘。はこの掛け声を使っているようで胸が熱くなった。中澤リーダーの頃のがんばっていきましょいも見たかったけどすぐには映像が出てこなかった。こういう面では今はいい時代だ。昔はMVだけを集めたビデオなんかも公式から販売されてたくらいなんだから。ファンクラブの会費も郵便振替で払ってたし。あぁ時代...
これは紙袋。大伸ばしステキ!!のカタカナ具合は時代だとして、大伸ばししてる写真が全部証明写真みたいなのが不思議だ。
先程の袋の裏面には現像するフィルムの種類。まだコニカがあるしポジプリントの欄もある。受付日に西暦がなく正確な年代がわからないのがちょっと悔しい。
こうしたパッケージにはまだまだ発見があって、今はないフィルムが載っていたりする。ここにあるnexiaはAPSフィルムとのことらしい。初めて見た。
これがその現物。ここまで紹介したものと一緒にダンボールに入っていた。写ルンです専用と書いてある。
これを現像に出すとこんな感じで現像から戻ってきたんだと思う。今ならちょうど現像で受けとるCDケースくらいの大きさ。同じ富士フイルムだからか、色使いも一緒。
APSフィルムも僕がフィルムカメラを始めた2016年あたりはまだ、横浜のカメラはスズキあたりが扱っていたと記憶している。今はどうなんだろう。APSフィルムを使うカメラは未だに見かけるけれどさすがにメディアの入手がかなり大変でしょう。CONTAX、Tixなんか使えたら楽しそうなのに残念。
海外のパッケージ
現像パッケージの海外版も見つかった。奥さんがアメリカに留学していたころに撮ったフィルムで、現地で現像に出したときはこれに入って戻ってきたそう。写真下が平時、上がクリスマスパッケージとかなんだろうか。奥さんは写真に特別入れ込んでいたわけではないので詳しいことはわからないという。
中にはネガが裸で入っているのが海外っぽい。わざわざスリーブから外すということもないだろうからこれがこのラボのデフォルトだったのだろう。ネガは一部張り付いたりしていたけど、剥がしてもそんなにダメージは見受けられない。湿度の多い日本で雑に保管されていたことを考えたらネガはタフだ。少なくとも20年以上、無頓着に放っておいたのに。
さらに、これらのネガから当時プリントされたであろう写真も無造作に放り込まれていたが、こちらも角がへこむくらいで鑑賞を妨げるダメージはなかった。
PCやハードディスクをリプレイスするときなんかはデジタルデータは結構気を使う。どこにどんなデータがあったかとか、コピー漏れがないかとか。最近ではGoogle photoの容量制限など、写真を保管する場所の利用規約にも目を配る必要もある。それこそハードディスクが壊れてしまえば大量のデータが一気になくなる可能性もある。
一方フィルム写真は一度現像とプリントさえしてしまえばかなり長期で保管できることが改めて実感としてわかった。検索性や鑑賞の気軽さでは圧倒的にデジタルなのは間違いないけど、とにかく長く残すことだけを見ればアナログ写真は相当強い。プリントした時点でネガと紙の二重バックアップが出来るようなものだし。残したい写真はやはりプリントすべきなんでしょうね。
さて、今度はパノラマ写真のパッケージ。この青の色合い、そしてフォントからUSA for AFRICAを連想した。やっぱりパノラマが一般にも流行った時期というのがあったんだろう。さっきも書いた通り奥さんは写真を趣味にしていない。そんな彼女でもこうしてパノラマを撮っていたくらいだから。それに中古カメラ店ではパノラマ撮影の出来るコンパクトカメラをカメラをちょくちょく見かける。そういう機種は決まってカメラにパノラマってシールが貼ってあるのでわかりやすい。
ちなみにこのときパノラマで奥さんが撮っていたのはなんてことない女子3人の3ショットだった。
昔の写真
書いてきた通り、紹介した紙のパッケージにはネガだけでなく当時プリントした写真も入っていた。笑っちゃうのがそのどれもがテンプレ的な記念写真。タイムズスクエアの前でカメラを向いてるのとか、大阪にきました〜みたいな。
そして同じく自分の学生時代の写真も、ビックリするぐらい同じような写真ばっかりなんです。鎌倉の大仏の前でピースとか、ホテルの入り口前の集合写真とか。
これはぼくたち夫婦以外を見ても同じことが言えて、2000年代に入るまでは写真といえば記念写真で、日常的に撮るのは写真趣味の人ぐらいじゃなかったかな。そもそもカメラが今ほど身近じゃないから、特別なとき以外はさほど撮らなかった。今ほどじゃないにせよお金もかかるし。だから残る写真はハレの日ばかり。入学式や修学旅行とかね。そこはもちろん大事なんだけど、自分の心が動いたシーンってそれだけなんだっけ?いや、そんなはずない。
授業が始まる前、廊下で先生が来るのをコッソリ見張ってワイワイしたときとか、チャイムが鳴ったあとの終わらない「ラスト1回!」、冬の部活帰りにコンビニの前で食べる肉まん、まだお金がなくて毎回同じ組み合わせだった休日の勝負ファッション、紙パックのリプトンとコッペパン、クラス替えの日の歓喜、ガラケーの電池パックに貼った彼女とのプリクラ、何度センター問い合わせして里もメールが来なかったあいつの死んだ表情。ミラノ風ドリアとドリンクバーだけの3時間。そんな日常が最高だったし、残っていてほしかった。
だからフィルム、デジタル問わず、最近の若い子たちが日常を写真なり動画でたくさん撮ってるの、結構うらやましいんだ。ポカリスエットの広告みたいにって、そんな贅沢は言わないから、ただ当時の日常をもっと記録したかった。と、今になって思う。
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