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咲かせてみせようオカマ道

ワンピースってあんまり指摘されないけど、性別というものに割と特異な性質がある。

ルフィは女を殴ることに全く躊躇が無い。また女の裸に興味がない。アラバスタ編でナミとビビが入浴してるところをウソップなんかと覗くシーンがあるけれど、覗いていたのはルフィ、イガラム、サンジ、ウソップ、コブラ、チョッパー、マツゲ。ナミの裸が見たいからといって、コブラは娘のビビが入浴中なのに覗かせるか?
これは作者曰く、修学旅行の悪乗りのノリだったらしい。
ルフィは女体そのものには興味が無く、入浴中のハンコックの裸を見ても何の感動も動揺も無かった。インペルダウンに突入するときもハンコックの服の中に隠れていたけれど、別にスケベな表現が全くない。これがサンジなら鼻血の出血多量で大変なことになる。

またアラバスタで覗かれたナミは逆にタオルをはずして「幸せパンチ!!一人10万よ♡」と見せる。裸を売ることに抵抗がない。

少年漫画のヒロインは処女性が求められることが多いというか、わざわざ非処女をアピールするようなことはない。麦わらのクルーで処女であろうと思われるのはビビのみ。ロビンは少女でないというのを踏まえても、フランキーを仲間に入れるために躊躇なくフランキーの金玉をガッツリ握る。そしてウフフって笑ってるくらい。

海賊という非道徳集団であるということを鑑みても少年漫画的にはちょっと珍しい。

ドフラミンゴとヴィオラが、ドフィとヴァイオレットと呼び合う仲で思わせぶりなシーンがあるけれど、二人の関係は少年漫画では描かない大人の関係みたいなことをSBSで作者が明かしている。
少年漫画で恋愛は描かない。恋愛漫画は少女漫画の範疇というのが尾田栄一郎の言。

生い立ちや生き方を考えるとナミもロビンも、まあ処女じゃない。少年漫画の主人公の仲間の女に処女性がないのは異常。そしてそれを否定しないどころか、肯定するような描写。

そして女を徹底して女扱いしない少年漫画の主人公は異質。

逆に女であれば絶対に攻撃しないサンジ。不細工だから蹴ってもOKとかそういう緩い設定じゃなく、イノシシ人間でもメスだと分かると絶対蹴らないサンジ。オカマキャラは蹴ることが可能。この辺にちょっと不思議に思うほどにサンジの徹底した女性観がある。

そしてオカマは善人で味方。ボンクレーはアラバスタ編で敵だったけれど、以降は最高に良いヤツ。友情を大切にする最高の人間。
カマバッカ王国の女王イワンコフは超重要人物で、九分九厘クロコダイルをクロコボーイに性転換させてるし、性別の超越ということがポイントになってくる。くいなは女だから大人になるとゾロに勝てなくなるという男女間のテーマをゾロも持っていて、くいなはイワンコフに男くいなにしてもらってる説は濃厚。

イワンコフの性別なんて大した事ナッシブルってのが一見ふざけてる様で大真面目。

ウソップも「勇敢な海の戦士」というある種の男らしさに憧れを持っている。

女を武器にすることに全く躊躇いの無い守銭奴ナミ。

フランキーはモズとキウイに若い女がどうとか言って面倒を見る。

ブルックはビッグ・マムに対してすらお嬢さん扱いで、パンツ見せてもらってもよろしいですかとセクハラ。

メンバーは各自独特の男女観を持っている。

付け加えると、るろうに剣心の志々雄真実の十本刀、大鎌の鎌足が、男としては宗次郎、女としても由美に勝てないとコンプレックスがあり「常に自分は本気であり、そうでなければオカマはやってられない」という強い意思を表すのは、和月伸宏のアシスタント時代の尾田栄一郎のアイデア。

オカマ、男女観というものに尾田栄一郎は拘りが間違いなくある。なぜ誰もこれに触れないんだろう?

ボンクレー


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