最近、スポーツジムがやっとダイエットした

10年以上前のスポーツジムはウェートマシンがあり、ちょろっとフリーウェートがあり、スタジオがあり、プールがあり、大浴場やサウナがあるのが基本だった。

大浴場とサウナの使用の為だけの運動しないスパ会員というのも多かった。

そもそもウェート勢とスタジオ勢とプール勢は全部別物。あるから使おうってだけで、顧客ニーズとしてはウェートだけ、プールだけ、スタジオだけでいいから、料金下げてくれというもの。ウェートトレーニングをガチでするならマンションの部屋一室でも十分。スポーツジムの経営者自体がザックリ“運動”というカテゴリーでしかものを見ていなくてターゲットを絞り込めていなかった。

筋トレを真面目にする人間からしたら、サウナや大浴場なんて余分。その金でもっと重いダンベルを置いてくれと思う。30キロのダンベルってすごく重いので、ライト層は使わないので30キロまでしかダンベルを置いてないようなところの30キロダンベルは誇りを被る。30キロじゃ軽いと思う人は30キロまでしかないジムに入会しない。

だから個人経営のボディビルやパワーリフティング、ウエートリフティングのジムに通ってた。

しっかり運動をする人間はキチンとした知識があり、ジムのスタッフより詳しい。補助も出来ないようなスタッフは案山子以下。

一昔前だとウェートトレーニングをすると使えない筋肉がついてスピードが落ち、疲れやすくなるという迷信がはびこっていた。大男をスピードと技で翻弄するのはカッコいい。相撲も小兵は人気だし、弁慶と牛若丸の関係も日本人の信仰心に訴えかける。だから武道をやってる人などはウェートトレーニングを嫌いバカにし見下す。日本のスポーツを牽引したのが柔道。もっと古い運動は兵法なので武道の考え方や信仰が日本人には染みついている。だから野球なんかも追随して、ウェートで作った見せ筋に意味などないと日本に広めた。

80年代の漫画の主人公はマッチョが多かった。キン肉マンや北斗の拳。受け継いで孫悟空なんかも。男の子はみんなマッチョに憧れた。でも大人たちに使えない見せかけの筋肉だと吹き込まれ洗脳されてしまった。90年代に入るとマッチョの主人公は減って、るろうに剣心やワンピースみたいな細くて強いヒーローが活躍しだした。でも締まりのない身体は不細工だから細マッチョなる造語が生まれた。腹筋さえ浮いてればマッチョというプロパガンダ。でもマッチ棒のようなその体はどう考えても貧弱で格好が悪い。細マッチョといってもある程度の筋肉は欲しいと思うようになり、昔から変わらずマッチョを目指していた人がケンシロウやキン肉マンほどのマッチョになれず、でも悪くない体形になっていて、そういうマッチョ志向の人は相変わらず激太マッチョを目指すのだけれども、多くの人はボディビルをしたらある日突然朝起きたらビルダー体型になってしまっていたなどという妄想から覚めた。筋肉も脂肪も努力しないとなかなか付かないし減らない。

フィギュアなんかの影響もあって肉体美というものが意識され始めた。ワンピースのフィギュアはモリモリマッチョでもないけれど、現実にいたらモリモリマッチョだ。

努力すれば筋肉は付く。努力しないと筋肉は付かない。筋肉が付いてくると太りにくい体質や生活習慣が出来る。痩身エステなんていうほぼほぼ詐欺にお金を使うバカ女は多かったけれど、筋トレで体を作る男に誘われ影響され筋トレをし出した人もぼちぼち増えた。タルンタルンの48キロより、引き締まった55キロの方がどう見ても美しいことに気が付き始めた女も少しずつ増えてきた。

ボディビルをしたら簡単にボディビル体形になってしまうという誤解が解け、ネットの普及で筋トレ知識も広まり、YouTubeで説得力のある体の人がフォームなど解説し、ウェートトレーニングへの嫌悪感は薄れていった。科学の発展による運動不足で手足が細くお腹だけがポコンと出た不格好な人がヤバいと思ったこと、単純に寿命が延び健康年齢を意識するようになったことも関係あるとは思うが。

筋トレは沼。底がない。中途半端な知識もないバイトスタッフなど必要なく、ジムにプールも大浴場もサウナもいらない。最近これに企業が気が付いて24時間年中無休の割安筋トレ特化のジムが急増している。道具さえあれば勝手に筋トレして帰るのでスタッフも別に24時間常駐しない。24時間ジムが増えたのには、防犯の監視カメラの性能が上がったのは理由になるかもしれないけれど。
真剣にやったら何でもケガとは隣り合わせ。ケガも自分持ち。スタッフのせいに出来ない。むしろケガのリスクを負うようなハードなトレーニングをやらせたくないスタッフが邪魔。
まさにジムが贅肉のプール、風呂、サウナを削ってダイエット成功。

古いタイプのスポーツジムは長年通った年寄りが交友関係や思い入れで通い続けるだろうけれど今のままのスタンスだと先細りで潰れると思う。

特化していた個人経営のジムもさらに特化したアドバンテージが無いと大企業の波に飲まれて潰れると思う。

武道をやっていた人間は自前の道場、トレーニーはホームジムを持つことを夢見がちなんで、トレーニング器具を開発している会社が今後日本で伸びる可能性がある。器具に関しては本場アメリカのどこそこのジムと同じ器具とかのブランド力があるわけだけれども、アメリカのマシンって総じてサイズがデカい。だからこそ、日本人のサイズに合わせた器具メーカーが伸びるんじゃないかなと思う。1トンに耐えられるレッグプレスのマシンとかちゃんとした溶接技術で作らないとすぐにぶっ壊れるから、日本の技術の見せ所だと思う。


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