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#03 循環経済の全体像を俯瞰してみる / サーキュラー・エコノミーの実践的すすめ


では、循環経済の全体像をつかんでみましょう。

循環経済に取り組む主体属性(Who)、取り組む商品・サービス属性(What)、取り組む手法属性(How)などの組み合わせで類型化されたものがさまざまな機関から既に発表されてます。

代表的なものをいくつか紹介します。


■①  循環経済イメージ  By エレン・マッカーサー財団

イギリスに拠点がある循環経済を世界的に牽引する組織。

財団創設者はエレン・マッカーサー。
1977年イギリス生まれ。プロとしてヨット活動をしている中で、限りある資源の重要性と、循環性の大切さに気づきます。

彼女は2010年9月に、リニア型経済から循環経済への移行を推進する「エレン・マッカーサー財団」を立ち上げます。その財団が提唱する循環経済のイメージがこれ。

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2つの大きな円が蝶の羽のように見えることから、通称「バタフライダイアグラム 」と呼ばれています。

2つの大きな円の間、蝶の体に相当する部分に、直線で一方通行のリニア経済モデルが示されています。
資源をTake(採掘する)し、それを部品製造業者が労働力とエネルギーをかけて部品になり製品製造業者に渡し、Make(製品になる)。その後サービスプロバイダーが消費者に商品を届けています。リニア経済の場合、その後これらはごみになりWaste(捨てる)し、環境に負荷をかけることになります。
「エレン・マッカーサー財団」は、リニア型経済から循環経済への移行を推進することを目指して設立されていますので、その理念を表した図といえます。

「枯渇性資源」と「再生可能資源」、それぞれを左右の円で表しています。右の青い枯渇性資源サイクルは、自動車・プラスチック・化学物質など、そのまま自然界に戻すと環境に悪影響を及ぼす枯渇性資源のサイクルを意味します。左の緑のサイクルである再生可能サイクルは、例えば木材・綿・食品など生分解する自然資源のサイクルを意味します。

エレンマッカーサー財団が提唱する循環経済3原則とは下記の通りです。

Design out waste and pollution(廃棄物と汚染があらかじめ出ない設計)
GHG排出、有害物質、水・大気の汚染や交通渋滞など経済活動による人の健康や自然環境への負荷を低減することを
設計段階から考慮し、そもそも廃棄物や汚染というものの発生をなくすという取り組み。

Keep products and materials in use(製品と原材料を使い続ける)
設計によって製品・部品・素材の耐久性、リユース、再製造やリサイクルを進め、経済の中で循環させる取り組み

Regenerate natural systems(自然の仕組みを再生する)
再生可能エネルギーの活用や土壌への養分還元など、非再生資源の使用を避け、再生可能資源を活用する 例:生物多様性を利用した土壌回復、アグロフォレストリー(森林農法)など

エレン・マッカーサー自身が語る「バタフライダイアグラム」の説明、必見です。

■② 循環経済イメージ  By Value-Hill

企業が循環型経済の中で自らを位置づけ、循環型経済の中でビジネスを行うための将来の戦略を策定するために、Sustainable Finance Lab、Circle Economy、Nuovalente、TUDelft、het Groene Breinが協力して「Value Hill」を作成しました。
https://www.circle-economy.com/news/master-circular-business-with-the-value-hill#.XEhkG1VKiUk

経産省に和訳された図がありましたのでそれを紹介します。

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■③ 循環経済イメージ  By 経済産業省


2020年5月22日、経済産業省が「循環経済ビジョン2020」を取りまとめたものを発表しました。
そこに掲載した 循環経済のイメージ図がこれです。

図1

この循環経済は、一業種一企業のアウトプットが、別業種別企業のインプットになり、社会全体の循環経済をうまく表現できているように感じます。また、シェアやPaaSを内部円ではなく外部円で表現した点もデザイン性がありますね。

循環経済の話をしてて感じるのは、循環経済を3R(Reuse,Reduce,Recylc)などの既知情報だと思われている人が多いこと。循環経済のセミナーも、登壇している方が、リサイクル業界だったりします。リサイクル企業も循環経済の重要な一部ですが、そこが中心軸ではありません。

そのあたりの話を次回で紹介しますね。



数藤 雅紀 suto.masanori@members.co.jp
循環経済戦略プランナー University of Cambridge Judge Business School, Circular Economy & Sustainability Strategies修了認定者

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