再会

「こんにちはー！薄焼ちゃん久しぶり～！
元気かぁ？｣

ここは京都市北区にある占いの館

今日は珍しいお客様

見た目年齢は薄焼先生より一回り年上か？
風変わりな中年男性だ。

「たまたま通りかかったから寄ったわ。ん、なんやこれ？チャイ、、？呼ばれるわ。おおきにな。

え？最近若い子の恋愛相談が多くて？薄焼ちゃんも昔の男の記憶がふとよみがえったんかー。
そーかそーか。
そーいえば僕もさ、この前こんな事があったんやー。

昔の思い出ってやつやけどなー。
京都の街歩いとったらな、すれ違ったんや。結婚はしてへんけど数年一緒に暮らしてた女に。20代やったかな。もう30年振りの再会や。

僕は気付かず通り過ぎるところ、彼女の方が声掛けてくれたんや。
それで僕もおおって気付いてな。

彼女とは楽しい事もいっぱいあったけど、その分辛いこともいっぱいあった。結果的に別れを選んでそれっきり連絡する事もお互いなかったんや。
その後も勿論僕は色んな女と大恋愛と呼べるものもしたし、彼女もそうやろうと思う。
けどな、ふっとその瞬間その時に戻った気がした。

僕も用事があったからその時は僕のお店の名刺だけ渡したんやんか。
彼女とはお店オープンの構想練ったり試行錯誤してる時の付き合いやったからな。

ほんなら懐かしそうに「まだやってたんや！今度行くわな！｣言うてくれて。
なんや嬉しかったわ。

ほんでな、まだ続きあんねん。

次の日にな、彼女そっくりな20代ぐらいの女の子が店に来てんやん。
彼女の娘さんやってん。
いいお店見つけたから今度いってきーってお母さんに教えてもらったらしい。

生きてたらこーゆー事もあるんやなーって。
、、、、、あるんやなーって思った。

嬉しかったわ。

普段はこんな話せーへんねんけどな。
薄焼ちゃんがそんな話するからつい喋ってしもたわ。

ほな、店の準備あるしそろそろ行くわな。
チャイごちそーさん。美味かったで。｣

かわるがわる展3 短編集
2020.06.14【再会】より