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雇用と人工知能の複雑なカンケイ

鶴先生といえば日本の経済システムの緻密な分析の方で、お名前見るだけで研究者としての胸が躍るのですが、このような整理をしてくださる点、とても色んな人が助かる経済教室だと思います。

Devil's Advocate的に二つだけ追加の見方を加えるとすると、一つはやはり、なぜ自動化という労働の代替と、雇用の関係が不明確なものであるか、という点で、余った時間やリソースで何を「始めたか」が大事だと感じます。

MFグループのナレッジラボという会社があるのですが、同社では様々な企業の意思決定や経営・自動化支援をされている中で、余った時間で新規事業を始めたり、新しいものの売り方をされている場合には、業容が本当に拡大していて、一言でいうと幸せな事例がみられています。そういう「始めよう」と思えるきっかけと慣れているかが大事だと思います。

もう一つは、Bullshit jobsの存在です。どうでもいい仕事が、自動化の時代に増えているというアイロニー。

この観点は褒められるべきベクトルではないのですが、割と上記記事に書いていることが肌感に合うという、なんとも矛盾めいた状況があるわけです。最近は「働かないおじさん」という言葉の方が日本版といえるかもしれません。

この要素を、パレートの法則的に必ず生まれる働き者と怠け者として捉えるのか、余剰人口すなわち生産性の伸びしろとしてみるか、現実主義と楽観主義の間で揺れ動くなーとも思います。が、多分仕事としてどっちが楽しいのか。こういう記事を思いを持って読む人たちには、割と偏りがあるんだろうなとも思います。そうでないところへの理解の視野を、丁寧に持って行ければと思います。


#COMEMO #NIKKEI

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