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え、日本人は国連がお嫌い?

先日朝起きるとイタリア人の元同僚から”なんで日本人は国連が嫌いなの?”とメッセージがきていた。21日に米世論調査機関のピュー・リサーチ・センターが発表した国連の実績について先進14カ国で実施された世論調査の結果を見て連絡してきたのだ。

調査結果によると全世界の63%が国連に対して好感を持つと回答しているのに対し、なんと日本の回答者で好感を持つと回答したのはわずか29%。下の表をみても日本の数字が他国と比較していかに低いかがわかる。

さらに驚いたのは、逆に好感を持たないと回答している人の割合だ。日本人回答者の半数以上(55%)が国連に対して好感を持たない。と回答しているのだ(世界平均33%)この数字も他国と比較しても突出して高く、アメリカ(31%)よりも相当高い。

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日本人が国連に対してこんなに否定的な見方をしているとは正直驚いた。元国際機関職員として多少バイアスはかかっているだろうが、国連はすごいところだ、国連で働くなんてかっこ良い、と一般的に思われていると思っていた。ところが、好意的どころか否定的に思っている人の割合が多いというのが個人的に納得いかない。

なぜこのような結果になったのだろうか?いくつか個人的な意見を書いてみる。

1. 調査の仕方がまずかった

結果を見てまず最初に思ったのは、調査の仕方がまずかったのでないか?もしくはデータに信憑性があるのだろうか?という事だ。真っ先に確認したのは、この世論調査がいつ行われどのような人に対して行われ、誰が回答したか。レポートでメソドロジーを確認すると(細かい事は省略)2020年6月18日〜7月18日の間に固定電話(37%)そして携帯電話(63%)の番号からランダムにサンプルを抽出(回答者は18歳以上)し電話調査を実施。サンプル数は1056

最終的にどのような人(特性)が回答したかは公表されていないが、日本全国を代表するようなサンプルになるように様々なウェイティング(weighting)がなされている。

この結果が本当に日本を代表するような国連に対する考え方なのだろうか。結局よく分からないまま、モヤモヤ。自分が日本をしばらく離れている間に日本も変わってしまったのだろうか。昔は国連といえば田舎でも知名度は高かったし、駅前なんかでは今でもUNICEFだったりUNHCRだったりの人たちが頑張って募金活動をしていて、足を止めて話を聞いている光景を良く目にするんだけどなー。

2. アンケートに対する日本人の特性

そして、もう一つ頭に過ぎったのは、安倍前首相が辞任を表明した後の内閣支持率爆上げである。安倍前首相が辞任を表明した直後に行われた共同通信の世論調査で、そのわずか1週間前の調査と比べて20.9%も上昇した事を思い出した。

支持率が任期中の最低水準まで低下していたのに、首相を辞めると言っただけで内閣支持率がこれほどまで上がる理由はなんだろうか。2から3ポイントの変動なら理解もできるが20ポイントって。。。

という事は、日本人はこの手のアンケートで簡単に数十パーセント違った結果を出すことができる(容易に?)という事なのだろう。

ちなみにCNNの記事によると1年前の同調査では日本人の47%(今年が29%)が国連に対して好感を持つ35%(今年が55%)が国連に対して好感を持たないと回答している事から、この一年間で大幅に動いているのがわかる。

と言っても、こんなに動くものなの?と言うのが正直なところで、やっぱり調査の仕方がまずかった、もしくは政治的なツールとして使うためにこのような結果を出させたと考えてしまうのはNetflixの見過ぎなのかもしれない。

写真はUNのサイトより(UN Photo/Yutaka Nagata)

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