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Covid-19×都市計画×建築 -コロナは都市計画そして建築をどう変えるか-

コロナは、都市計画にも大きな影響を与えつつある。

ここでは、そのことについて考えていく。

一番言いたいことは、これまでの都市や都市計画のあり方が大きく揺さぶられているのではないか ! という言う事である。

まずは、これまでの都市や都市計画がどうなっていたかであるが、

そもそも、都市(とし)とは、商業、流通などの発達の結果、限られた地域に人口が集中している領域である。(Wikipedia)

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人が集まること=価値 

であり、いかに人を集めるかがあらゆる領域での関心事であった。

例えば、

繁華街や商業施設は多くの人が集まるので飲食店などにとっては価値が高い場所となる。

オフィスは多くの人を集めることで業務効率が上がり、コミュニケーションが活性化されるなど価値が高い場所となっていた。

競技場、コンサート会場、展示会場、劇場なども、大きなキャパで魅力的なアーティストやクリエーターを呼び込むことで、多くの観客を集めることができていた。

これはほんの一例であり、あらゆる領域がこの原理で動いていた。

モノのところに人がくる

という原理である。

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そして都市もこの原理によって設計されてきた。都市計画では商業地域、工業地域・・・といった用途地域が定められ、容積率等の上限などを設定することで同じ機能・同じ利用目的をもつものは出来るだけ一か所に集めようとしてきた。

しかしこれが変わるかも知れない!

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コロナによって

人が集まること=リスク

になってしまったからだ。

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繁華街に行くことはリスクになり、飲食はubereatsや出前感などのデリバリーサービスで家に届けてもらう。

オフィスに行く事はリスクになり、家でリモートワークをしてネットで会社と繋がる。人と会うために会社に行くのではなく、自分は外に出ることなく、zoomなどを使うことで画面上に会いたい人に来てもらう。

イベントも、zoomやyoutube等によって、リモート環境でありながら多くの人を集客することが可能になっている。これもいわば家にイベントがやってくると言い換えられる。

つまり

人がいるところにモノがくる

という従来とは逆転の現象が起こっているのである。

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これらが一時的なものか、恒久的なものかは意見の分かれるところではあるが、少なくとも100%以前に戻ることは無いだろう。

なぜなら、以前には無かった価値に気付いてしまったからである。

デリバリーサービスは、店の予約、店までの往復、他人への気遣いなど多くの煩わしさを解消してくれて、自分の都合に合わせていつでも気軽に好きなものを選べる楽しさを教えてくれたし、また家族との時間の大切さにも気づかせてくれている。

リモートワークは、通勤や会社内での移動などを無くして、無駄話のない会議や、これまでは不可能だった数での会議、そして場所の制限なく会議が可能でなることを教えてくれている。

オンラインイベントも、会場の手配や会場設営を不要にして、やはりこれまででは考えられなかった数でのイベント、そして全国、全世界の人たちに対して簡単にイベントを開催できる事を教えてくれている。

これらに価値を感じている人たちにとっては、この状況を以前の状況に戻す理由は見当たらず、もはや不可逆のトレンドになっている。

実際、オフィスを集約したり廃止して完全リモートワークにしている会社もあり、彼らは元には戻らない宣言をしているのである。また、ubereatsなども人流が元に戻りつつある状況でも売り上げを落とさずにいる。

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一方で

この様な状況がある程度広まるとなると、都市や建築はどうなっていくべきなのだろうか?

まず繁華街やオフィス街には人がこなくなる。これは人が全く来ないのではなくて、従来想定していた(建築のキャパ的に想定していた)人は来なくなるという意味である。その結果、より利用されない場所が増えてしまうことになる。

空き店舗や空きオフィスが増えるのは当然だが、それだけでなく空いてはいないが利用されない時間も増えてしまう。この利用されずに空いている場所や時間をいかに活用していくかが今後の大きな課題となるのである。

けれども、現在の状況ではこの課題への対応がなかなか難しい。

大きな理由の一つとして用途地域がある。

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現在の都市計画では、用途地域という縛りがあるので、そこで許されている業種の中でしか課題解決の対策を考えることができない。

この仕組み自体を変えていく必要があるのではないだろうか?

そもそも用途地域という考え方が、集まることが価値になるという思想のもとできたものだとすると、そこでは同じ課題を抱えている人たちが集まることになってしまう。

オフィスの空きが問題なのに、その答えは似たような業種の中から作らなければならない。。。空き時間や空きスペースをなんとか利活用しようと考えているのに、それはむしろ逆効果であり、理想は違う業態・業種の人たちが混ざり合うことである。

極端に言うと、昼間はオフィス、夜はホテルや飲食、こんな事を可能にしていかなければいけないのである。

これはいかに都市機能を分散させ、融合させるかであり、現在の都市計画とは真逆の発想ということになる。

但し、これをやると都市がカオスになりそうではある。。。オフィスと店舗とホテルと住宅が混在する都市が「可能」になるのだから。また、都市インフラや都市機能的の効率化が損なわれてしまうのではないかという懸念も生じる。

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けれども、そこは資本主義の原則がベースにあるので、必ず最適解に向かって収斂(しゅうれん)していくはずである。ごちゃごちゃな状況ながら、そこにメリットを見出して、最適なカオスを探してそこに向かっていくことになるはずである!

これは従来の価値観ではあり得ないと考えてしまいがちだが、新しい価値観がこれから形成されていくのだから、むしろ率先してその方向を模索しても良いのではないかと思う。

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次に

建築自体(特に内部)についてはどんな状況になっていくのだろうか?

まずは 密→疎 への対応

これまでの様ないかに人や機能を詰め込んで・・・ということから、いかに間隔を開けて機能分散をしつつ効率化を図るかということ。既に、オフィスなどでは比較的対応が可能で、机の間隔を開けたり、互い違いに人が座るような配置にしたりといった工夫がされて、これらができない部分はアクリル板で仕切ったりといった対応が行われている。

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一方で、手付かずの部分もまだまだある。例えばトイレやエレベーターなどの設備に関して。これらはこれまでの多くの人が利用する前提で、必要な数量が決められていたのだが、もはやそこまでの人が利用する事はなくなる。もっと数は少なくても良いのかもしれないし、もしくは間隔を開けた設備配置にしなければいけないのかも知れない。建築をいじる部分であるので、難しいが、新たに作る部分ではそれらを考え直す必要があるのではないだろうか?

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これまでのルールや算定式では対応ができなくなるので、全く新たな仕組みが必要になるだろう。

また都市計画の部分で述べた様に、これまで想定していなかった業態・業種の人たちもその施設を利用する様になるのだとすると、建物の利用用途を1つに絞って(あるシーンにしか対応できないものにして)、その用途以外にはもう何も変えられない様に全てを建築側で作ってしまう事はあまり得策とは思えない。

先の事例で見てみると、「仮に!」昼間はオフィス、夜はホテルになるのだとすると、どんな建築が必要になるのだろうか? 広いスペースだけ建築側では用意しておき、昼間は可動式の仕切りや机などで容易にオフィスにでき、夜は机を片付けてベッドを出すみたいなことでも良いのかも知れない。

また、昼間はオフィス、夜は飲食店舗だとすると、やはり広いスペースに自由にレイアウトされた机・椅子が並び、夜になると厨房セットがその中央に現れるなんてことでも良いのかも知れない。

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これは私の勝手な妄想なので、本当はもっと色々な可能性があるし、もっともっと合理的で現実的な答えがあるのだろうが、いずれにせよ、かなりフレキシブルなものにしていく必要がある。そして、ここでも各種法規制などは、思想から見直すくらいの大きな変更を余儀なくされる事だろう。

この様に

都市計画や建築基準などのこれまで当たり前だと考えられ、無条件に受けれいれてきた考え方に疑問符が投げかけられたのが、コロナによってもたらされた現在の状況である。

100%ビフォアコロナに戻るのであれば、何も変える必要はない。けれども状況はそうでは無さそうである。少しずつでもこれらを考えて現実的に対応していくことが必要なのではないだろうか!!!!

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カオスな都市も意外と楽しいのではないかな!と個人的には思うところでもある。。。


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