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デジタルヘルスは建築をどう変えるのか?

ガートナーのハイプサイクルでは、デジタルヘルスが幻滅期を脱し啓発期に突入してきており、今後世の中に普及していくと予想されている。つまり暮らしに溶け込んでくることになる。

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暮らしに溶け込むということは、建物のあり方や作り方にも影響する可能性があると考えられるために、ここではその影響を考察したいと思う。

デジタルヘルスとは何なのか?この定義を理解しておく必要がある。

実はデジタルヘルスと一括りして話しているが、これはとても曖昧で、幅広い概念である。例えば、医・介・薬などを繋ぐ電子カルテ、遠隔医療や遠隔診断、モバイル医療機器による健康管理(モニタリング、体調管理、未病、病気の発見・経過観察)などと多様な技術領域を含む。ただ目的としては、基本的にテクノロジーを用いたヘルスケアに関する多様で持続的な課題解決によって、人々が生き生きと健康で長生き出来る社会を目指すということであると私は理解している。

ちなみに、領域が広すぎて、様々な生活シーンが考えられるのだが、現状を分析してみると、このデジタルヘルスは今回の Covid-19によって一気にハイプサイクルを駆け抜けてつつあるという事実がある。3密を避けて人と人が接触しない状況での治療や介護が必要になったことで、このテクノロジーを進化させてきた。自宅にいながら病院の医師に診察してもらったり、適切な薬を処方してもらったりといったことを、せざるを得ない状況が生まれ、一気にこの世界観が現実のものになりつつあるのである。つまり、遠隔医療や介護、デジタル技術に夜健康管理などが、この領域を牽引してきたと言えるので、ここではこれらをデジタルヘルスの中核と認識しておくべきである。

これらが私たちの生活を変えていくのである!

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どう変えるのか?

これまでは医療は病院でのみ行われきた。つまり、検査-診断-治療-入院と全てが病院でしか出来なかった。これが家で出来る様になっていく。

デジタルヘルケアによって。

なぜそんなことが出来る様になるのかというと、ITの力によって、家にいる患者(生活者)と、離れた病院にいる医師が、情報によって繋がるからである。これは、家と病院の境界が変わり、役割りが変わるということである。

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まず、家にいながら検査が可能になる。

ここは私は必然な流れだと考えている。現在の病院での検査結果は、ある一瞬を切り取った特異データであり、本来の数値ではないと思っている。私の場合、人間ドックにいくからと一週間前から禁酒して、それに向けて運動して万全な状態で検査に臨む。それは真実の数値ではない。それよりも、日常のリアルな数値を本来はみるべきである。日々モニタリングなどの技術や、ビックデータ解析技術は、これを可能にして、医師はリアルな患者の状態を把握することが出来るのである。

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また、家にいながら医師の診察が受けられる様になる。

タブレット等を用いれば、自宅と病院は簡単に繋がることが出来る。VRや感覚伝搬といった技術、遅延をなくす5G技術などを組み合わせることによって、遠隔でも触診をすることも可能になりつつある。

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家で治療すら出来る様になっていく。今でも最先端な事例では、医師が遠隔でロボットを操作して手術を行うということが可能になりつつあり、ゆくゆくは家庭での手術も可能になる日も来ると考えるのが妥当である。

その他、必要な薬は必要なときに、必要なだけ自宅に届き、その服用もモニタリングされ管理できる様になる。点滴や酸素吸入なども同様である。

この様に、現在、病院で行っているほぼ全てのことは、家でやる様になるはずである。

そして、住宅には、検査、診断、治療を可能にするインフラ設備が必要になる。酸素インフラ、蒸留水インフラ、吸引・汚物処理インフラ、非常用電源、薬や医療機器などの保管場所などである。また医療、介護、救急、薬局、ECなど関連部門が患者の状況に合わせて適確に連携し、そして非常時にはあたかも病院にいるのと変わらないくらい反応できる様な、通信技術なども必要になる。

住まいの病院化していくのである!

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現在の住まいでは、それら仕組みはほぼ整っていない。必要なときに、簡単に病院化できる様な住まいのシステムが求められる。


ちなみに。

病院はどうなるのか?

そこでしか出来ない重症患者の手術などをする機能は残るだろうが、基本的には病気を治す場所ではなく、医師が各患者のモニタリング結果から異常を判断し、治療方針を決めるところになっていくだろう。

病院はoffice化していくのである!

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