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クリエイティビティこそ建築業界が生き残る方向性

今回はコラム的な位置付けとして、「クリエイティビティ」について考えてみたい。

建築業界をこの先魅力ある業界にしていくには、どうしたら良いかがここでの主題である。

まず

問題提起として、現在の建築業界が決して魅力的で将来明るい業界であると言えない状況がある。他のIT業界などに比べて。。。

私自身、この業界に身をおく一人として、その事をものすごく悲しく感じている。

3K職場、高齢化、職人不足など、そのどれもばネガティブなものばかりである。。。。

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ここをどうにかしていこう!!!

その為には・・・・(答えが無いのが今の状況では無いだろうか)


昔は違っていたのに。。。。

ここがブレークスルーのヒントになると思っている。

まずは歴史を遡ってみるが、最近まで建築はその時代や都市の象徴、そして誇りであった。

ギリシャ・ローマ建築、ビザンチン建築、ゴシック建築、ルネサンス建築・・・と、時代の名前がそのまま建築の様式名となってきた。そして、そこには建築家という存在があるが、決して建築家だけが輝いていた訳ではない。建築家と同じくらい重要な役割を担う多くのクラフトマン(石工、彫刻家)がいた。今でもスペインのサグラダ・ファミリアなどでは同じ状況ではないかと思う。

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また、日本でも職人はずっと重要な職業であった。例えば、江戸時代では大工、左官、鳶(火消し)は華の三職などと呼ばれて人気の職業(花形)だった。

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共通しているのは、彼らにはクリエイティビティがあり、それらを皆がリスペクトしているということである。

現在はここが完全に無くなってしまっている。

クリエイティビティ ≠ 職人」 となってしまった。

悲しいかな、テクノロジーの進化によって、修行などしなくても誰でも工具や機器などを使うことで同じ品質をアウトプットできる様になってしまった。

そしてデザイン・設計と施工が分離されることで、現場にクリエイティビティは不要になってしまった。(本当はクリエイティブでないと出来ない職業なのに!!!)

ここを変える!

これこそが建築業界復活の道である!!

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ちなみに

「クリエイティビティの地位向上」は今後の世の中のトレンド

になるはずである!

現在はYoutube, TikTok, Instagram, clubhouse などの所謂プラットフォーマーが世の中を牛耳っている状況であるが、それらは徐々に新鮮さが消えていく。なんだかどこかで見たことがある内容に感じる様になっていくのである。つまりよりコンテンツの重要度が上がっていき、コンテンツ争奪競争が近い将来訪れる事は容易に想像できる。

ディズニー、マリオ、鬼滅の刃などを見れば一目瞭然だが、これらがプラットフォーマーに搾取されている現状はそのうち逆転していくはずである。

魅力あるコンテンツは強い。

これらはキャラクターの話ではあるが、トレンドとしては同じでは無いかと思う。

建築の場合は、既にどれもこれも同じような建物になりつつある。つまり、今後まずます差別化要素が重要となるので、クリエイティビティへのニーズが高まるはずである。

しかし

現在、建築におけるクリエイティビティは、デザインという領域に限られてしまっている。

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歴史を見るとデザインとは技術によって達成されるもののはずなのに、現在では技術ではなくプランニング(意匠設計)によって決定されている。

これは実は構造的な問題でもある。

現在の建築は建築基準法などの法規によって、最低限の性能レベルが決められている。そしてその最低レベルをクリアするのに、それ程高い技術は必要ないのである。だから技術はどんどん不要になっていく。

何年も修行してやって、家を建てられる様になるのではなくて、素人でも少し練習すれば建てられるものなのである。

敢えて言うと、現場施工に置いて所謂現場調整という部分でクリエイティビティが求められる。図面と現場での差異を、職人の技術力によって解消するのである。数ミリの歪みや不陸などどうしても計画通りには行かない部分があり、そこにはクリエイティビティが必要になるのである。

が、やはりこれだけでは弱い。魅力的だとは言えない。

もっと誰もが感心する様なクリエイティビティを発揮できる様な仕組みを作っていく必要がある !

例えば !

現在の技術(大量生産技術)では難しいような究極の性能レベルを設定することができたら、職人にしか出来ない建築が魅力的なものとして認知される様になる。そうすることで、○○という職人が作った造形物がブランドになったり、クリエイティブな職人が客観的な評価とともに流通する(高額な報酬で現場を渡り歩く)様になったりしていくと、この流れはトレンドになって行くのではないかと思う。

そしてここが重要なのだが

そのクリエイティビティとは、必ずしも大工や左官などといった事ではなくて、テクノロジーを駆使しながらこれまでの大量生産では出来ない建築意匠・構造などを実現することである!!!

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ちなみに、大量生産に支えられている現在の建築業界のステークホルダーにしてみたら、自分たちより優れたものが出来ることになり面白くないかも知れない。

けれども、そのクリエイティビティを求める顧客は、現在の顧客とは違うはずである。デザインやクリエイティビティをリスペクトしてお金を惜しまない様な人たちが顧客となるからである。だからそこまで既存事業へは影響しないのではないかと思う。

また、客観的に考えてみると、それで建築業界のイメージがアップすることにもなるのであり、結局は自分たちのメリットに繋がる。

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建築業界に入ってくる人も、最初は大量生産の建築を建てるために、安い給料で誰でも出来る技術で頑張りつつ、様々に技術を磨き、かつ多様なテクノロジーを駆使しながら、徐々にクリエイティビティな能力を高めていき、高性能・高意匠な建物を建てられる様になって行く。

自分だけの「新たな職人像」を作り上げていくのである。

それにより個々人の価値が上がり、結果的に建築業界自体が魅力あるものになる。まさに「建築業界の復活」である。

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長々と半ば妄想に聞こえる様な想いを綴ったが、私は本気でこんな将来像にしたいと思っている。

なんとかしたいですね。。。。。。


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