白波の子
深海にすまう
角を生やした魚は
暖流によりその角をまるくし
すっかりとおだやかになった
軒下に営巣をして
ひとと共にいきる
つばめの親は
子をうみそだて血をつないだ
白波によごされた日から
強かに生きているようで
皆どこか壊れつづけながら
するすると暗闇に落ちてゆく
糸のかたちをした感情
ひとにしか聴かれぬざわめきが
海鳴りのなかで今日も生まれて
ざわめく岬には白波の子
しろく陶器のような瞳をして
黄昏に取り残されたものが
永遠のゆめをみている
あわと化した日々は
胸のなかでねむりつづけるし
きえない火種となってくすぶりつづけるだろう
忘れない
って
枷 はずせないのに
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