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睡眠薬と眠れないわたし

「どうか明日は、目覚めませんように。」

20年くらい前、寝る前にいつも唱えていた祈り。

あの頃毎日、本当に毎日、起きてる間中ずっと泣いていたので、わたしは疲れ切っていた。

もう、目覚めない方がずっと楽だと、心底感じていた。

睡眠薬と、抗うつ剤を、飲んでも飲んでも楽にならなかった。

目が覚める度に、「なんで…」と絶望した。
そして、どうせ泣いて過ごすだけの1日をまた乗り越えないといけない事に、怯えてまた泣いた。

今は、あの時の辛さに比べたらずっとずっとマシだと知っている。

でも、だから何だというのだろう。

あの頃の自分より、今辛そうなあの人より、随分マシだからと言って、今のこの気持ちが何か救われるのかな?

生きた先に用意されている事を、いくら提示されたって、それが光を放たない時がある。生存者バイアスが、耳の横を通り過ぎていく。

この気持ちを抱えたままでも、笑って過ごす日はある。幸せを噛み締める時も、沢山。

だからといって、真ん中にある黒い塊は、消えて無くならない。

誰かに向かって証明する必要は無いけれど、それは確かにここにある。

ふとした瞬間に勝手に大きくなって、どうしようもなくなると、うっかり何もかもを終わらせたくなる。

誰かに相談すれば良かったのになんて、そんな事。それが出来れば、何もかもを終わらせる選択なんて、存在してない。

例えばそれを吐き出せたとしても。
「あなたは大丈夫、色々持ってるじゃない。」そう言って何もなかった事にされた時、口をつぐんで、静かに決意を固めてしまう。

辛い時に欲しいのは、希望では無い。
ただ、苦しむ事を許して欲しいだけだ。

あの時、終わらせる道は選ばなかったけれど。
今でも繰り返しやってくる波に、強く立ち向かう為に手に入れたものは、決してわたしが望んでいたものではない。

「わたしが笑ってるからって、何もかもが流れてると思うなよ」
心の中でそう悪態を吐きながら、ですよね、わたしは幸せもんですと、ちゃんと作り笑いをみせる、その力だけだ。

誰かの道標になんてなれない。
それでもわたしは、これからもこの世にいい加減に存在し続けて、苦しんでいる見ず知らずの人に、生きていてくれたらいいなと無責任に願ったりしていく。

#日記 #エッセイ #毎日note #目には見えない

誰かの偽りの笑顔が、この手をすり抜けてしまわないように、自戒を込めて。

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