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SASBスタンダードを学ぼう③ 非財務情報に財務情報並みの比較可能性を!


SASBは細則主義

前回のnoteでは、日本企業のSASBスタンダード採用が、米州・欧州・他先進国に比べて少ないということ、その理由は明確にはわからないということを書きました。

その後、色々と調べてみた結果、これが日本企業での採用が進まない理由のひとつかも?と気づいたのが、表題の「細則主義」です。

SASBスタンダードでは、詳細な数値の開示や、定性的な情報等の開示が求められています。このような「細則主義(rule-based)」は、国際統合報告フレームワーク(IIRC)などの「原則主義(principle-based)」とは対をなす概念です。


細則主義は使いづらい?! その理由は…

細則主義の利点は情報の利用者が他社比較をしやすくなるところにあるのですが、一方で、細かく決めている分、国の状況等によって合わないところがあることも。

最近のニュースで言えば、公開草案時点ではIFRS S2号[案]の付録B「産業別開示要求」として”基準の一部を構成する”ものとなることが提案されていたSASBが、確定基準では”基準の一部を構成しない”ものと位置付けられた、ということがありました。

その理由、こちらのnoteでは「SASBが米国発祥であり、米国以外の企業が使用するに当たっては、適用しづらい項目が多分にあった」と指摘しておられます。きっとそうなのでしょうね。


SASBのねらいは非財務情報の"財務情報化"?

ただ、SASBが細則主義なのには、ちゃんと理由があるのです。

日本公認会計士協会のホームページに掲載されている対談「統合報告をめぐる国際的な動向とSASBの活動内容について」(2015年12月)には、SASBの目的について、以下のような発言が掲載されています。

発言者のBobEccles氏は、ハーバード・ビジネス・スクール名誉教授・国際統合報告評議会(IIRC)カウンシルメンバーであり、SASBの元議長(当時)

SASBの目的

Eccles
SASBの目的は、会計基準によって財務情報を比較できるように、非財務情報に関する基準を作成し、同じ項目を同じように比較できるようにすることです。

サステナビリティと非財務情報の違いは、それぞれの内容が業界固有であることが多く、重要な事項も業界によって異なる傾向があるという点です。国際財務報告基準(IFRS)や米国会計基準には、何を損益計算書や貸借対照表で報告すべきかについて非常に明確なガイドラインがあり、すべてがきちんと定義されています。しかし、非財務情報に関してはそのように詳細なガイドラインや定義は定められていません。

つまり、SASBが目指しているのは、非財務情報を財務情報のように比較可能な(そして透明性の高い)ものにすることであり、だからこそ(批判されようとも)細則主義を貫いているのですね。


次に調べたいこと:SASBの国際化

先ほどのnoteによれば、SASBは現在、そのローカル性?(と言っていいのかわかりませんが…)を改善しグローバルに使用できる産業別開示基準にしていこうとするプロジェクト「International Applicability of the SASB Standards」を実施しているのだとか。

こちら、とても気になりますので、明日また時間を作って調べてみたいと思います!!


以上、サステナビリティ分野のnote更新1000日連続への挑戦・55日目(Day55) でした。それではまた明日。





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