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SASBの「国際的な適合性向上PJ」進捗

今年6月26日、IFRS財団の年次総会でエマニュエル・フェイバーISSB議長によって、IFRS S1・S2が正式に発表され、フランクフルト、ヨハネスブルグ、ラゴス、ロンドン、ニューヨーク、サンティアゴ・デ・チリなど、世界中の証券取引所が主催する1週間のイベントを通じて発表されたことは、よくご存知のことでしょう。

それと同時に、SASBの扱いが、ドラフトからドラスティックに変更されていたことにも、注目が集まりました。

SSBJウェビナーレジュメより

気候変動については、S2があるんだから、それを使用しなさいということ。ただ、適用できるのであれば、それに従って開示してもよいですよ、という位置づけ。

JPX ISSBセミナーシリーズ第1回レジュメより

他方、気候変動以外については、S2のようにテーマ別の基準が用意されていないのでS1を使用せざるを得ないところ、具体的な内容は記載が無いので、SASBを考慮しなさい、となっています。

このような扱いにトーンダウンしたのは、SASBが米国発祥であり、米国以外の企業が使用するに当たっては、適用しづらい項目が多分にあったからなのです。

それを受けて始まったのが「International Applicability of the SASB Standards」というプロジェクト。グローバルに使用できる産業別開示基準にしていこうというものです。

このプロジェクトが完了した暁には、ドラフト版のように、SASBを「基準の一部を構成するものと位置づける」予定です。ISSBの小森理事も明言していますので、企業としては、動向をウォッチしつつ、準備をしておくことが肝要でしょう。

気になる進捗ですが、SASBスタンダードを運営するISSBは、修正されたSASB基準の暫定版を公表しました。暫定版の公開は11月10日までで、確定版はISSBの承認後、12月に公表される予定です。

ちなみに、「これらの黒線文書に対するコメントは求められていない。この文書は11月10日までオンラインで公開され、関係者が改定内容を理解できるようにすることを目的としている。」とか。コンサルテーションでは無いということですね。

11の産業別の「Blackline Documents」が公開されていますので、自社セクターをご覧になり、「傾向と対策」を検討されてはいかがでしょうか。

修正の方向性については、5つのアプローチを取っているとのこと。

Overview: application of the Methodology for Enhancing the International Applicability of the SASB Standards and SASB Taxonomy Updates より

法域(この場合は米国や州ですね)に固有の内容があった場合、同様の国際基準や一般的な定義、あるいは報告企業が属する国・地域で適用可能な法や規則があれば、それを適用可能とすると共に、不要なら除外し、必要であれば新規のルールを作成して置換するというものです。

で、検証した結果がこちら。

Overview: application of the Methodology for Enhancing the International Applicability of the SASB Standards and SASB Taxonomy Updates より

1〜3単独、あるいはそれらの組合せで、ほぼ対応できそうですね。

削除された要求事項のリストがこちらですが、「カリフォルニア州DTSC候補化学物質リストに掲載されている物質を含む製品からの収入」のような極めてドメスティックな内容や、「 (1)500kWh、(2)1,000kWh の電力を供給した場合の、住宅顧客に対する標準的な月次電気料金」など、当然と思えるものばかりですね。

Overview: application of the Methodology for Enhancing the International Applicability of the SASB Standards and SASB Taxonomy Updates より

置換される要求事項はこちら。
「合目的的」に考えれば、対応する一般的なデータは存在するということ。

Overview: application of the Methodology for Enhancing the International Applicability of the SASB Standards and SASB Taxonomy Updates より

以上、「国際的な適合性向上PJ」の進捗状況についてお届けしました。
後は、11月10日に公開が終了し、確定版をISSBが承認するのを待つだけ。
公開されましたら、またお届けしたいと思います。
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